張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

行き過ぎた「規制改革」の弊害

 「石油業法」と言う法律があったことをご存じでしようか。
 この法律の第1条(目的)には、次のように宣言されています。・・・この法律は、石油精製業等の事業活動を調整することによって、石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図り、以て国民経済の発展と国民生活の向上に資することを目的とする。

 このような素晴らしい法律が、小泉構造改革内閣時代の平成14年に規制撤廃の理由で廃止されています。
 その結果、何が起きたのでしょうか。原油価格高騰により漁民を操業停止に追いやり、生活苦から廃業せざるを得ない状況が続いていることはマスコミ等でご存じと思います。
 でも、本当の原因は価格高騰ではなく、重油そのものが不足して漁民に回らず,操業が出来ないのです。(月刊誌選択8月号より)

 規制撤廃により,元売り業者は国内需要を守る義務が無くなったため、完全自由化した石油製品を最も高いところに売ってしまい、在庫が無いのです。
 原油の精製過程では温度の変化によって製品が出来上がるため、不足するからと言って,特定の製品だけを多めに生産することは不可能なのです。だから、一旦システムに狂いが生じると元に戻すには簡単ではありません。

 世の中「規制改革」が善であるかの如く喧伝されていますが、中身をじっくり検討しないと、後でとんでもないしっぺ返しを食らうことになります。
 あの嵐のように過ぎ去った「郵政民営化」騒動。そろそろ負の問題点が顕在化するのではないでしようか。
 問題提起には,何処に本音が隠されているのか見極める良心が不可欠となります。