張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

TPPの本質について その三

TPP問題は国論を二分するほどの激しい戦いになっています。殆どのマスコミは農産物の関税撤廃問題を話題にして、その他の分野については農産物ほどには論じられていません。

アメリカが輸出倍増計画を実現するために、農産物の関税撤廃を求めていますが、農産物だけでは倍増計画は実現しません。本丸は他にあります。それは日本の事情を無視した規制の撤廃にあるのです。あの小泉内閣で行われた規制改革は少なくとも国民の合意を求めましたが、TPPは有無を言わさず撤廃を求める強制力を持っているのです。

その主なものについて「その二」で解説し、ダブルかも知れませんが追加します。
1.物品市場アクセス・・・物品の貿易に関して、関税の撤廃や削減法法を定める。これにより農林水産
940品目の関税撤廃や医薬品の価格破壊が行われる。
2.SPS(衛生食物検疫)・・・食品・動植物の免疫措置について緩和する。これにより国内事情を無視
した検疫が行われ、BSEや農薬使用の食品が自由化される。
3.TBT(貿易の技術的障害)・・・安全・環境保全等を目的にアメリカ有利のルールが作られ、遺伝子
組み換え食品の表示規格が変更されてしまう。
4.政府調達・・・中央・地方自治体等による物品・サービスの調達に関して、内国民待遇を要求され
る。これにより、国内公共事業の価格破壊が実現し、国内公共事業者が壊滅する恐れがある。
5.競争政策・・・貿易・投資の自由化を促進し、電気、ガス、水道、道路、郵政等の公的機関が解体さ
れる。
5.越境サービス貿易・・・サービス貿易に対する無差別待遇や数量規制を撤廃する。これにより資格制
度や免許制度、国家資格制度が維持できず相互承認となり知的レベルの格差が拡大する。
6.このほかに商業関係者の移動の自由化、金融サービスの自由化、電気通信サービスの自由化、投資の
自由化、環境基準の緩和禁止等に渡って規制撤廃を目論んでいる。

我が国の各種の規制は、国民の生命、財産、安全を確保するために作られた歴史を持っている。これ
を貿易拡大というアメリカの目的のために国内事情を全く無視して行うTPP参加には将来に禍根を残すことになる。真に我が国の国益を考えるならば時期尚早である事を再度認識してもらいたい。もし強行参加になればデフレは進行し、二度と立ち直れないダメージを受けることを覚悟しなければならない。