張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

日本で生きている市場原理主義者の巣窟

 昨秋、サブプライムローン破綻で暴露された市場原理主義経済学が、百年に一度と言われる経済不況を招いたことはご存じでしょう。市場に任せておけば全てが合理的に解決できるという極論に沿って金融工学が発達、規制の撤廃でマネーがマネーを生むという異常な事態で、実体経済の70倍にも膨張したマネーが世界的なバブルを煽り、一挙に破裂し、激震が走った。

 市場原理主義の考え方の基本は、全ての規制を撤廃すれば経済が成長するという固定観念から出発し、アメリカ的な個人主義には向いていると言われているが、節度を超えると極めて危険な思想である。

 この危険な思想を無批判のまま生き延びている組織が日本国内に存在しているのである。それは内閣府に設置されている「規制改革会議」である。初代の委員長はオリックス宮内義彦会長である。宮内会長は「小泉構造改革を利権にした男」として知られ、最近では「かんぽの宿」一括低廉譲渡で話題をさらっている。

 小泉内閣のスローガンは「改革なくして成長なし」の旗印の下、徹底した規制改革が進められたことはご存じでしょう。この思想的な構造を支えているのが「規制改革会議」なのである。改革は善で、保守は悪という市場原理思想に凝り固まり、全ての組織は「村社会」として糾弾し、徹底した市場開放を目指し、反対意見を封じ込めるという過激な意見の持ち主集団が「規制改革会議」なのである。

 「改革なくして成長なし」のスローガンの下で実行された各種の「規制改革」は、その後どのような道を辿ったのでしょうか。日本の良き風土,習慣、組織等はずたずたにされてしまい、日本経済の長期低迷を招いてしまったのである。

 郵政民営化の混乱、タクシー業界の疲弊、労働者派遣法の改正による派遣労働者の破壊、医療制度の崩壊、経済格差の拡大、短期利益追求による経済モラルの崩壊、人間生活の絆の崩壊等々、規制改革の実践により,国民の生活や安全を保証する姿勢とは裏腹に,実態はもの凄く痛んでしまっている。

 今の政府与党では諸悪の根源である「規制改革会議」を廃止する姿勢は皆無である。真に国民生活向上のためには官僚政治を改革する「構造改革会議」でなければならず,構造改革のネックとなっている「特別会計」制度を一般会計化する抜本的な改革以外にない。その為には政権交代という激震を演出する覚悟が国民一人一人になければならない。覚悟は出来ているか。これが本当の自己責任である。