張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

TPPの本質について その一

今日、TPP(環太平洋経済連携協定)の参加を巡って国論が二分されています。TPPの目的は関税の撤廃により、より自由度の高い貿易を実現することにあります。このため、我が国では農産物の自由化により格安な農産物が輸入されてしまい農業が壊滅的な打撃を受けるから反対であるという点がクローズアップされていますが、本質はそんな生やさしい問題ではないのです。実はTPPに参加すれば24分野に渡って関税の撤廃を求められているのです。

TPPがにわかに問題になってきたのは2011年のオバマ大統領の一般教書演説からです。この中で大統領は次のように述べています「企業がもっと海外に製品を売るのを助けるために、我々は2014年までに輸出を2倍にする目標を設定している。何故なら我々がより多く輸出すればこの国でもっと雇用を生み出せるからだ」オバマ大統領は貿易協定がアメリカの雇用を増やすための輸出倍増計画の一環である事を重ねて強調しているのです。

それでは何故日本にTPP参加を迫っているのでしょうか。現在、TPP交渉に参加している九カ国に日本を加え、これら10カ国のGDPはどうなっているのでしょうか。実はアメリカが70%弱、日本が25%オーストラリアが4%残り7カ国合わせて4%なのです。もうお解りですね。アメリカが輸出倍増計画を実現するためには経済大国日本のマーケットを何が何でもこじ開けるしか道はないのです。

TPPは、アメリカの、アメリカによる、アメリカのための貿易協定に過ぎないことを肝に銘じて判断すべきなのです。これをバスに乗り遅れるなとか、平成の開国などと言ってスローガンを掲げ賛成している者もいるが、表面的な理解で無責任な対応は国益にそぐわないから止めてもらいたい。

かつて、小泉内閣のとき吹き荒れた「規制改革」は日本に何を残してくれたのか。その検証に手を付けずにTPP参加とは極めて危険である。

当時、内政干渉に等しい「年次改革要望書」がアメリカから提示され、これに基づいて徹底した規制改革を行った結果、格差の拡大、日本風土の絆の破壊、デフレの増進等によって日本経済は今だ立ち直っていない。TPPは規制改革以上の厳しい関税撤廃であり、そり衝撃は計り知れないと考えるべきである。次回では分野別の問題点についてお話しします。