張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

深掘りの習慣を付けましょう

 深堀とは、何かを深く掘ること、何かを深く追求すること。これが転じて既にある別々な情報を関連性を持たせながら探究することを言います。

 先ず事例研究から
 昨年12月25日の産経新聞に貧富の格差是正を目的に「中国「相続税」導入へ全人代で審議入り「固定資産税」も検討」と言うタイトルの記事が掲載されました。普通に読んでしまえば、いよいよ中国も相続税を課すことになったのか、で終わってしまいます。これは単なる情報に過ぎません。

 さて、相続税の中心は不動産です。中国は共産主義国家ですから土地の私有制は認めていません。ちなみにマンションは50年から75年の使用権、農地は30年から50年で国家に返納されます。従って、世代が継続する「相続」と言う概念は成立しないはずです。深掘りするとこれは異常事態であることが理解出来ます。富裕層は値上がり期待で高級マンションを何件も所有しているのが実態です。

 何故、相続が発生しない共産主義国家に相続税という問題が突如起きてきたのか。その原因は、ジニ係数が0.73と言う異常値に来てしまったためです。ジニ係数とはご存知のとおり、所得・資産分配の不平等などを示す指標の1つで、係数は0と1の間をとり、値が1に近づく程、不平等が高くなることを示します。一般的には0.4を越えると社会が騒乱状態となり、0.5を越えると内乱になると言われています。中国の現状はこれらの数値を遙かに超える0.73と言う危険水域に入ってしまったのです。

 危機意識を持った現指導部が、貧困層の不満を和らげるため、富裕層の定期借地権付き不動産を狙い撃ちしたものです。
 しかし、ここで問題が発生してしまいます。中国のGDPの6割近くは不動産投資であると言われています。富裕層を狙い撃ちした相続税の実施は、GDP牽引役の不動産投資に急ブレーキが掛かり、他の成長鈍化と重なり合って激震が起きるのではないかと考えます。経済力の衰退が軍事力の増強にブレーキが掛かりやがて南シナ海東シナ海に平穏が訪れると深掘りする次第です。