張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

いわゆる共謀罪の落とし穴

共謀罪」は旧名称であり、正式名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」と言います。略称は「テロ等準備罪」と言い、以下の条件に該当した場合、処罰の対象となります。
 その条件とは
 ●組織的犯罪集団に所属しその活動として
 ●2人以上で対象の罪を犯し
 ●その計画した者らが計画に基づき「資金の準備」「現場の下見」等の犯罪実行のための準備行為が行われたとき。となっています。

 上記の条件が満たされたときに犯罪が成立します。この文書だけ見れば言われているとおり普通に生活していれば問題ないと考えます。ここで「2人以上で対象の罪を犯す」とありますが、対象の罪は277種類と明記されています。
 この277の罪の中に企業経営に直接影響する税法や会社法が次のように列挙されているのです。
1.消費税法  偽りその他不正の行為による消費税の免脱等
2.法人税法  偽りその他不正の行為による法人税の免脱等
3.所得税法  偽りその他不正の行為による所得税の免脱等
4.相続税法  偽りその他不正の行為による相続税の免脱等
5.地方税法  偽りその他不正の行為による地方税の免脱等
6.会社法   会社財産を危うくする行為、魚偽文書行為等
 これらの行為は現行の税法で厳しい罰則規定が定められているにもかかわらず「テロ等準備罪」が新たに成立してしまう危険性があります。

 節税と脱税は紙一重です。合法的に行うのが節税。非合法で行うのが脱税。節税は納税者の権利です。納税者の権利として行われる節税相談が脱税相談と判断されたらどうなるのでしょうか。判断する当事者はあくまでも捜査機関の権限です。
 運用を間違えると訴訟が激増し、強いては自由な経済活動に悪影響が出ると危惧しています。
現行税法では脱税犯に対する罰則規定は厳しく、重加算税や国税犯則取締法によって歯止めを掛けています。
 この上、更に「テロ等準備罪」を課すことに理論的整合性を持っているのか疑問です。
 過度な締め付けはやがて国民の信頼を失うことになります。内閣支持率の低下の一因となってはいないか。

 「テロ等準備罪」はスパイ天国と言われる日本には必要であり、国家間のテロ等の情報交換には不可欠であることは充分認識しています。しかし、税法や会社法まで対象にすることは将来に禍根を残すのではないでしょうか。