張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

日本は「空気」が支配する国である。

尊敬する政治学者であり経済学者でもある(小室直樹教授)が「信長」という著書を発刊した。この中で日本人特有の考え方を紹介している。紹介本は山本七平の「空気の支配」についてである。日本人は大事に当たって、事の是非善悪を論ずるのではなく、特殊日本的な「空気の支配」によって左右されると喝破している。
これによって客観的規範が欠如してしまい、何が良くて、何が悪いかの判断が出来なくなると言う。

ここで歴史的事実を二件紹介している。一つは明智光秀の謀反事件。光秀の重臣たちは、謀反が悪いことをよく知っている。危険も大きい。光秀以下全員が身を滅ぼす確率が高いのである。是非善悪を論ずれば、あくまでも反対しなければならない。光秀は一人で本能寺に切り込んで切腹すると言い切ったため、「空気の支配」によって反対者でも賛成せざるを得ない状況となり、結果は歴史が物語っている。

もう一つが大東亜戦争の引き金の一つになったと言われる日独伊の三国同盟である。三国同盟は反対意見が圧倒的であった。でも結局賛成してしまった。理由は事ここに至る、最早反対しても無駄だからだ。と。論理も倫理もここでは死んでしまう。ただ「空気の支配」があるのみ。と。

現代に戻ります。7月の参議院議員選挙で管総理は参議院選が管政権に対する国民の信任投票である事を公言したことはご存じでしょう。ところが国民は民主党を惨敗させることによって不信任を突きつけたのである。かつての自民党であれば総理は責任を取って辞職している。これが不信任を突きつけた国民に対する誠意である。

にもかかわらず、自ら招いた敗因を分析せず、ろくな反省もせずに政権に居座る姿勢に疑問を抱いている国民が多いのである。ところがマスコミや政治評論家と称する人たちは政権が短期間で変わるのは国際的信用面から好ましくないと言うと、そうだそうだと大合唱。本質は国民から不信任を突きつけられた政権が居座り続ける弊害に対して事の是非善悪を判断せず、まさに「空気の支配」がまかり通っている。不信任を突きつけられたら直ちに改革を選択することが民主主義の常道ではないか。そういう議論がなくて進んでいる代表選挙こそが国益を損なっているという認識が大切ではないでしょうか。