張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

信なくば立たず。

論語に出てくる有名な言葉で、既にご存じと思いますがおさらいします。
弟子の子貢が孔子に「政治とは何ですか」と尋ねた時「民衆に食を満足させ、軍備を整え、民衆の信頼を得ることだ」と答えた。子貢は更にこの三つのうち一つを無くすならば何か、の問いに軍備と答えた。子貢は更に残った二つのうちどちらを無くすかの問いに迷わず“食”を無くすと答えた。ここから安全保障政策よりも、国民生活よりも、民衆の信頼が第一であると教えたのである。

第二次管内閣が発足しても支持率は殆ど低迷したままである。その原因について考えてみたい。日本国民は万世一系の歴史的背景の元に正統性を重んじ、出自を大切にする傾向が強い。かつて最強を誇った自由民主党の内閣で小渕首相が脳梗塞で倒れ、その内閣を引き継ぐ形で森内閣が発足した。このとき5人の有力者の間で密室会談が行われ、後継者を決定したことに対して正統性を疑われ、これが底流となって、わずか3ヶ月の短命政権となった。

昨年6月に発足した管内閣は7月の参議院選挙に立場を鮮明にして戦ったことはご存じのとおりです。曰く、今回の参議院選挙は管内閣に対する信任投票です。だから国民の皆さん協力して下さいと言って戦った。管総理も枝野幹事長も同様の言葉で訴えていた。結果はご存じのとおり民主党の惨敗。国民は管内閣にレッドカードを出して不信任の行動を取ったのである。最強を誇った自民党でも信任投票で惨敗すれば総理は責任をとって辞任している。ところが政権の延命に終始し、両人とも反省の色さえ見せず延命策に汲々としている。ここに出自の正統性に不信感をもたれ不人気の原因を作っている。

ただし、出自がどうであろうとも、為政者として「徳」が備わっていればここまで支持率は下がらなかった。為政者の「徳」とは小室直樹先生に言わしめれば「国民を幸福にすると言う能力、効力、活力、生命力の発揮である」となる。
管内閣になって振り返ってみれば「政治とカネ」問題で終始し、小沢代議士を叩くことによって支持率アップを狙ったとしか思えない行動が目立った。

クリーン問題で度が過ぎるとどうなるのか、歴史の教訓を知って欲しい。日本が軍国主義になったのは当時の政治では汚職が蔓延し、これを糾す空気から、腐敗の少ない軍部に政治を任せるという選択をしてしまったのである。また、ドイツでは一番清潔な政権はヒトラーナチスであったと小室先生は言う。清潔だけが「善」であるという発想は極めて危険な思想であることを認識してもらいたい。

この結果が、政治資金規正法で仙石官房長官がタバコや菓子パン等を政治資金から支出して問題となり、野田財務相の資金団体がクラブやスナック代金を支払ったとか、まるでチマチマした事が話題となってしまった。為政者は「徳」を求めて行動すべきなのである。