張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

とてつもない偉大な改革者かも知れない。

明治28年に勃発した日清戦争は、朝鮮半島の独立を求めて戦われたことはご承知のとおりです。清国は中華思想に基づいて韓国を属国扱いし、日本は南下するロシアの脅威を防御するためには、地政学的に韓国の清国からの独立が不可欠であるとして戦い、戦勝国の日本の意向に沿って韓国の独立は達成された。

大きな犠牲で勝ち取った独立もつかの間、次第に南下政策を強行するロシアとの間に日本の生存を賭けた日露戦争が勃発。日本海海戦の世界史に残るパーフェクトゲームによって辛勝。その後の国際情勢の激変の中で明治43年に締結されたのが日韓併合条約である。現代の感覚から考えれば、確かに不幸な出来事であったが、当時の国際情勢の下でこの併合を合法と認めて国際承認されたものである。

ここで何故「併合」という文字をあえて使ったのか。当時ヨーロッパの植民地支配の構図とは違うことを意識してのことである。ヨーロッパ諸国の植民地支配の実態は(清水馨八郎)著、「侵略の世界史」に詳しいが、植民地からの資源の略奪が目的であり、アフリカ諸国、アジア諸国、南米諸国の実例からも読み取ることが出来る。ところが「併合」は日本国民と同等であるという理念から、乏しい国家予算の中から教育改革やインフラ整備に集中したことは事実である。

その後大東亜戦争の敗戦により、昭和40年に日韓基本条約が締結された。ここで条約の定義。条約とは国の間において文書の形式により締結されね国際法によって規律される国際的な合意を言う。(ウィキペディアより)
平和条約は過去の一切を清算し、各国民の被害は各自の国家で保証する内容で、(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本と韓国との間の協定によって日本は次のような資金供与及び融資を行う)として、当時の相場で総額8億ドルを提供した。このときの韓国の国家予算は3.5億ドルで、これが後の韓国復興の原資になったことは事実が証明している。

以上の歴史の事実にもかかわらず、韓国併合100年に対し、管総理は「多大の損害と苦痛に対しここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明する」、「古文書、韓国王室儀軌」を返還したいと。立場から考えれば決して日本の立場ではない。また歴史ある古文書の返還は堂々と国家間の行為として行うべきである。

ここで問題。日韓基本条約で既に解決済みの問題を一国の総理が謝罪したり、古文書を求める1団体からの返還要求に応じたら一体どうなるのか。既に諸々の補償要求や北朝鮮からも補償要求が出ており際限のない問題に発展する危険性がある。

もし、ヨーロッパ諸国の侵略的植民地政策により被害を受けた諸国が過去にさかのぼって補償要求をしたり、略奪品の返還要求が続出したら、世界秩序はどうなってしまうのか。仮に認めたとしてもいつの時代まで遡るのかで議論が沸騰。結果、世界秩序はめちゃめちゃになってしまうことは明白である。
このような歴史認識を持たず、世界に先駆けて勇気を持って実践した総理にたいし、後生の歴史家は偉大な先駆者として認めてくれるだろうか。
再度言う。過去に不幸な出来事があったことは確かである。しかし、条約の精神を生かし、今後の共存共栄に邁進することを期待する。一国の総理は自国民を貶めるような行為を軽々とすべきでは無く正しい歴史認識を持って堂々と国政に当たってもらいたいものである。