張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

新古典派経済学の功罪とは

 経済学理論にアダムスミスの古典派経済学を現代風にアレンジした「新古典派経済学」という流れがあり、シカゴ大学を中心に発達したため、別名シカゴ学派とも言われている流派がある。

 この主旨は、市場に摩擦が生じたり、不安定な状態が発生するのは、人為的な規制を掛けるからで、市場をより完全なものに近づけるためには、政府の規制、例えば国防、警察、消防等以外は、全て自由にすべきであるという理論で、結果として市場は自ずから自律反転し、不安定を回避することが出来ると言う考え方である。

 一見、理論的に正しいと判断してしまう危険が潜んでいる事に注意を向けなければならない。
 この理論を推進するため、グローバルスタンダードの美名の基で、徹底した規制緩和が実行された。
 この結果、日本の風土を全く理解せず、強引に規制を撤廃したため、あらゆる場面で問題が噴出しているのが現状である。郵政民営化、食品偽装、医療問題等々数々の不祥事の根底には、過度の規制撤廃が絡んでいる。

 この理論の発祥地、アメリカでは全ての経済行為が自由になり、なりふり構わず儲け主義に奔走してしまった。金融工学を駆使して、てこの原理を応用し、僅かの資金で膨大な利益を獲得する手法が、新しいビジネスモデルとして一世を風靡した。

 結果は、市場が自律反転するどころか、サブプライムローン破綻をきっかけに一挙に金融恐慌が世界的に波及し、実物経済まで影響が出でしまった。GMはその典型である。バクチ資本主義まで自由放任してしまった付けが回り、これは行き過ぎた新古典派経済学の破綻を意味している。結果として、この理論には「功」は無かったことになる。
 1929年恐慌時の株価暴落率は最高時の六分の一であった。狼狽は禁物です。