張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

弁護士の悲鳴が聞こえる

 新人弁護士は、修業するため先輩弁護士の法律事務所に居候して給料を貰ういわゆる「イソ弁」の存在は周知の事実です。ところが最近、給料無しで法律事務所の机を借りる「軒弁」や、法律事務所に就職できずやむなく自宅で開業する弁護士が急増していると報道されています。

 現在、規制改革の一貫として司法制度改革が進行中です。この中で、平成22年頃までに法曹人口を5万人にするため、司法試験合格者数を、従来の千人未満から一挙に三千人に引き上げる事が決定され、これを受けて全国に法科大学院が雨後の竹の子のように設立されたことはご承知のとおりです。
 従来の合格率3%程度が、法科大学院制度ができあった現在、合格率はなんと40%台まで上がっています。まさに粗製濫造の典型と言って良いでしよう。

 何故こんな事が起きたのでしょうか。源流は「新古典派経済学」の流れに沿って、自由が「善」で規制は「悪」という思想にあります。これが「事前規制型社会」から「事後規制型社会」に変化し、全ての解決は司法の場で行うというものです。その為に、法曹人口の増加を行い、国民の期待に司法を通して応えるという思想です。

 この考えの行き着くところは、アメリカ型の「訴訟社会」の実現です。弁護士数百万人態勢で、事件の解決は全て司法で行う制度となります。行きすぎると社会は不安定になります。

 我が国は「和を以て貴しと為す」の思想が定着し、話し合いによって解決する「和」の精神が普遍的となっています。この風土の中で、全てを司法で解決するという乱暴な思想を定着させてはいけないのです。
 だから、弁護士数が異常に増加しているにも拘わらず、需要が無いため、生活に困窮している弁護士が悲鳴を上げているのです。
 「供給が需要を創り出す」と言う新古典派経済学理論は、日本の風土に合わない。今日、世界的金融不安の元凶もこの経済理論を過度に推し進めた結果であることを忘れないで欲しい。