張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

政治の貧困による被害者の叫びが聞こえますかパート2

昨日のパート1からの続きです。 

 日本は一国平和主義が浸透し、有事に備えるという気迫が全く欠けている。現憲法の自主的改正を党是としている自由民主党が未だ憲法改正に着手すら出来ていない現状で、有事に対応した法整備が未完である事が当たり前になって今日を迎えてしまった。

 為政者の最大の責務は、有事の時に憲法で保証された国民の生命を守り切れるかどうかである。為政者は平時の時にこそ有事に備える法整備を怠ってはならないのである。

「賢者は最悪を想定し、楽観的に行動する、愚者は楽観的に想定し、悲観的に行動する」と言われている。

 為政者が「賢者」であり有事に備えておけば今日の困難は避けられたはずである。何故ならば日本以上の感染者を出している先進国では医療崩壊が起きていないからである。

 世界一の医療資源を持ち、世界最小の感染者数で医療崩壊が起こるのは、為政者の怠慢と言わざるを得ない。本来、猛省して有事の備えを怠った責任を国民に詫びるべきである。ところが真逆の行動を起こし、弱者に対して行動規制を強化したり、あげくは「特措法」を改定して国民に負担を強いることに自責の念も感じられない。

自宅待機の感染者の突然死が報じられているが、有事の備えを怠った為政者の胸中は如何なものか。国民として自分の生命を救ってくれなかった国家に対して何と思ったのでしょうか。

政治の貧困による被害者の叫びが聞こえますか。パート1

暫くお休みしていましたが再開します。

今回のテーマは「政治の貧困による被害者の叫びが聞こえますか」3回シリーズです。

先ず補助線から。 日本の医療制度の現状について。

  • 人口100万人に対する病院数(20人以上の病床数)は67件で世界一
  • 病床数は千人に対して3人で世界一
  • CT台数は100万人当たり3台で世界一
  • MRIは100万人当たり9台で世界一
  • 公的病院割合は20%、民間病院80%
  • 1月29日現在の感染者数約38万人、死者数5,600人

世界一の医療資源を持ち、世界最小の感染者数と死亡者数を誇る日本で、医療崩壊が起きるとは常識から言って考えられない事態である。

 国家の最大の責務は国民の生命・財産・国益を守ることが憲法で保障されている。

以上で補助線終わり。

さて、問題の本質は、小泉内閣が行った規制改革である。規制改革の号令の下で本来やってはいけない生命に拘わる医療制度を対象にしてしまった。

 規制改革は従来の事前規制から事後規制に変換させ、全てを自己責任で賄うという制度である。財政改革で財政削減を重視した結果、国公立の病院を統廃合させ20%に縮小。これにより民間病院が80%に増加。先進国の中で歪な割合となってしまった。平時ならば世界一の医療制度を誇ることが出来た。しかし、この規制改革の致命的な欠陥は有事の対応を全く視野に入れなかったことである。

 この結果、国公立の病院には感染症に対する指揮命令が可能であるにも拘わらず厚労省文科省の二系列の病院制度の関係で、協力体制が整えず混乱を招く結果となってしまった。また80%の民間病院には法的に指揮命令が出来ず、中には献身的に対応してくれる病院もあるが、大多数の病院は風評被害を恐れて協力依頼には応じることが困難となっていた。協力した結果、風評被害で倒産しても自己責任とされてしまうからである。

本当にこのままで良いでしょうか。そろそろ名前を変えてもらいたい。

先ず補助線から

国家とは何か。国家とは国民の生命の安全と生活の保障を確保し、外敵の侵入を防ぐために形成した政治的共同社会である。と言われています。

国会議員とは何か。国会議員とは①国家を運営するための法律を作り、②それを実行する予算を決定すること③内閣総理大臣を選ぶことを専門とする職種である。と認識されています。

それでは本題に入ります。

我が国を取り巻く環境は、政治思想が異なる近隣諸国の日本への敵視政策により、以前にも増して危機的状況にあることはご存知のとおりです。国内に目を向けると自然災害の猛威による壊滅的なインフラ破壊。この結果、国民の不安増幅による不満の蓄積。米中覇権争いによる経済減速。消費税増税による消費停滞による経済悪化等々。我が国の存亡に係わる事態が山積している現状認識が大前提です。正に百年の大計を任ずるに値すると言われている国会議員の正念場です。

 ところが、現実はどうでしようか。今、国会で行われているのは一体どういうことでしようか。「桜を見る会」に対する政府の対応が不満として、国民の生活に欠かせない重要審議である予算審議を左翼野党がストップさせています。野党は国会議員としての矜持を本当に持っているのでしようか。本当に矜持を持っているならば、こんな些末な問題に対して本腰を入れるはずはないからです。自分たちも与党の時には行っていたことを、野党になったら反対とはどう説明するのでしょうか。確かに行きすぎたことは反省すべきですが審議ストップまでして行うべき問題ではないことぐらい理解しているはずです。国民は今回の事態を冷静に見ています。こんな議論しか出来ない政党に政権を託したくないと。

 最近の野党は言葉尻を捉えて何でも反対。些末な問題を政局にする姿勢が強くなっています。そろそろ野党の政党名を改名したらどうでしょうか。「何でも挙げ足取り党」。と。

 自分たちの政治姿勢をマスコミがそろばん勘定で同調して大々的に報道していますが、国民の目は冷静です。こんな政党に政権を託したら日本の未来は失われてしまうと考えるでしょう。

 昭和58年頃に長野県選出の共産党議員「林百郎」と言う代議士を御存じてすか。今秋台風19号の豪雨災害で千曲川が氾濫し、大災害が発生。千曲川の語源は千以上曲がりくねった川で、何時でも大災害が発生する河川である事は歴史が証明しています。昭和57年台風18号千曲川決壊に対して、総合的治水対策の推進に関する質問主意書衆議院議長に一人で提出。国民・県民を思う強い心があったからこその行動です。野党でも志が強ければ出来るのです。「何でも挙げ足党」に出来ますか。政党に関係なく本物の政治家は覚悟が出来ています。

真の勇気を持っていますか?

「真の勇気とは、しっかりと立ち上がり周囲を見回して、今なすべき事を見つけ出すことである」・・・新渡戸稲造言行録。

 安倍総理が、今決断すべき事は複数税率を伴う消費税増税の延期を一日も早く決断することです。一日遅れる毎に混乱と怨嗟が増幅され、強いては政権の命運まで左右される可能性が高まってきました。

 熾烈を極める米中貿易戦争の実体は、覇権争いであると言う認識が不可欠です。覇権争いであるならば貿易戦争は短期間では終わらない覚悟が必要です。過去500年間の新興国と覇権国の対立は殆どが戦争で解決さています。しかし、熱い戦争は核大国間では現実性がありませんが、その分決着には長い時間が必要です。新興国が降参するまで。

 安倍総理は、かつてリーマン・ショック級ならば増税を延期すると言っていました。リーマン・ショックは急激な経済悪化でしたが、今回の貿易戦争の効果は徐々に表れるという特徴を持ち、結果的にリーマン・ショック以上の経済破壊を覚悟すべきなのです。
 恐慌指数と言われているゴールド・シルバー比率が依然として高止まりで5月17日現在では84.6%です。80%を超えると危険信号と言われています。

 ところで、6月には日本で「G20」が開催されます。当然議長国は日本です。G20に今求められている役割は、世界経済の持続可能で包括的な成長の実現のための基盤作りであると言われています。これは議長国として世界に向かって成長力強化のための具体的な取り決めを実践することです。

 議長国である日本が、米中貿易戦争の影響で、確実に経済の悪化が確実視される中で、複数税率という不毛な議論を誘発する消費税の増税を予定どおり強行した場合、経済の悪化は過去の経験から明確である。世界に向かって成長力強化を発信しながら、自国では経済悪化を招く消費税の強行。この矛盾をどう説明するのでしょうか。

 安倍政権は長期政権だったが消費税を二度も増税し、先進国で成長率を一番落としたと記録されるのか、あるいは真の勇気を持った名宰相として記録されるのか。決断は今です。

歪められた税制パート3

今こそ真の勇気を持って欲しい。
真の勇気とは何か。あの新渡戸稲造が明快に答えています。曰く「真の勇気とは、しっかりと立ち上がり周囲を見回して、今なすべき事を見つけ出すことである」。

 先月末、昨年まで内閣の経済ブレーンをしていた大学教授が安倍総理と夕食を共にしたようです。その際に、「このまま増税すれば大変なことになる」と増税延期を訴えたようですが、総理は明確な返答をしなかったようです。内心は、増税が半年後に迫った段階で、方向転換する際の混乱をリスクとして考えているようです。要するに、今更止められない、と言うことです。

 さて、現在の経済環境はどうでしょうか。米中の覇権争いが厳しくなるにつれて貿易環境は悪化し、経済指標は一段とは厳しさを増しています。ところで「恐慌指数」と言う言葉をご存知でしょうか。投資家が景気判断によく使うようです。いわゆる金と銀の価格差を表し、ゴールド・シルバー比率と言われています。この比率が最近急上昇し85倍にまで達しているのです。経済が安定しているときは平均60倍程度です。

 この比率が高くなるほど経済危機が迫っていることを表しており、過去に80倍以上になったのは91年の湾岸戦争、08年のリーマン・ショック。明らかに地政学リスクや市場不安が高まるタイミングとなっています。

 このような悪い環境が予測される中での複雑な複数税率の消費税増税は、更なる経済悪化を招くことは明らかです。
今、決断しなければならないことは、増税延期のリスクと、強行することによるリスクのどちらかを選択するかに掛かっています。全ての経済指標がマイナスを示している環境下での強行は蛮勇と言わざるを得ません。勇気を持って撤退の決意を固め、名宰相として青史に名を刻んでもらいたい。
そして2年後、インボイス方式、単一税率10%。税の三原則を実行して下さい。

歪められた税制パート2

 税法は、「公平の原則」、「中立の原則」、「簡素の原則」が基本となっていることはご承知のとおりです。10月から実施が予定されている消費税増税について、上記の三原則に照らせばあまりにも問題点が多すぎます。

 消費税の増税は必ず景気後退を招く事は経験則として理解されています。そこで景気後退を阻止するための対策を練っているのですが、これがとんでもなく複雑で完全な実施が危ぶまれています。そこに米中の覇権争いに端を発した景気後退が重なってしまっているのです。そもそも、複数税率OECDから混乱を招くので中止するよう勧告されている代物です。

 食品関係8%、一般品10%。一時的な景気後退を防ぐため景気浮揚対策を打ち出した結果、消費税率は3%、5%、6%、8%、10%の5種類にもなってしまい、複雑怪奇そのものとなっていまいました。今後、不毛な議論が続出し大混乱となり政権与党にとって極めて危険となります。単一税率で出直す勇気を持つべきではないでしょうか。

 食品を持ち帰ると8%、これをクレジットカードなどの現金以外で支払うと国からポイント還元が受けられる。これは店舗の規模によって還元率が異なり、資本金5千万円以下の中小の店舗では5%の還元。コンビニは2%還元。大企業は還元無し。そもそも企業の規模をどのようにして選別するのか。
 しかも還元期間は半年程度では、その後の景気後退が明らかなのに無責任ではないのか。
税制の三原則に則り、勇気を持って税率は単一税率10%。逆進性を問題にするならば、対策はいくらでも考えられるはずである。
 国民を混乱に陥れ、不安を増幅する税制は、後世になって長期政権の弊害と言われぬように謙虚になってほしいものです。

歪められた税制パート1

ふるさと納税制度の問題点
 地方で生まれ育ち、都会で一人前となり納税が出来るようになった。ふと気付いたあの懐かしい故郷。恩返しに納税を通じて故郷に貢献することは出来ないか。そのような熱い思いを実現するために「ふるさと納税」が平成20年に導入されました。

 これによって、納税者と自治体がお互いの成長を高める新しい関係を築くこと。自治体は、納税者の「志」に応えられる施策の向上に向けて努力する。一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識を高めることが出来る。自治体と納税者が一体となった崇高な精神は、施行されて10年が経ちますが現実はどうなっているのでしょうか。

 税制上、納税者は寄付金控除が可能となり所得から控除され、税の優遇措置が受けられます。所得税は累進税率ですから高額所得者になるに従って有利に働きます。寄附を受けた自治体からは納税返礼品が送られてきます。

 現状は、本来の精神とは全く関係なく、ネット上で高額返礼品ランクを目当てに寄附をしたり、金権目当ての寄附が横行するようになり社会問題となったことはご承知のとおりです。

 更に問題があります。返礼品に対する税法上の取り扱いは一時所得に該当しますので、返礼品の評価額が多額になる場合には申告義務が発生します。特に高額所得者は他に一時所得がある可能性が高いので要注意です。
 寄付金控除が受けられ納税返礼品がもらえる「ふるさと納税」で各自治体に協力した事が「脱税」と言う結果を招いてしまっては悲劇です。現状では申告義務を怠っている人が大部分のようです。

 寄附をすれば返礼品がもらえる「ふるさと納税」制度は、射幸心を煽る危険が潜んでいるのです。
本来の精神に戻すべきではないでしょうか。