張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

歪められた税制パート1

ふるさと納税制度の問題点
 地方で生まれ育ち、都会で一人前となり納税が出来るようになった。ふと気付いたあの懐かしい故郷。恩返しに納税を通じて故郷に貢献することは出来ないか。そのような熱い思いを実現するために「ふるさと納税」が平成20年に導入されました。

 これによって、納税者と自治体がお互いの成長を高める新しい関係を築くこと。自治体は、納税者の「志」に応えられる施策の向上に向けて努力する。一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識を高めることが出来る。自治体と納税者が一体となった崇高な精神は、施行されて10年が経ちますが現実はどうなっているのでしょうか。

 税制上、納税者は寄付金控除が可能となり所得から控除され、税の優遇措置が受けられます。所得税は累進税率ですから高額所得者になるに従って有利に働きます。寄附を受けた自治体からは納税返礼品が送られてきます。

 現状は、本来の精神とは全く関係なく、ネット上で高額返礼品ランクを目当てに寄附をしたり、金権目当ての寄附が横行するようになり社会問題となったことはご承知のとおりです。

 更に問題があります。返礼品に対する税法上の取り扱いは一時所得に該当しますので、返礼品の評価額が多額になる場合には申告義務が発生します。特に高額所得者は他に一時所得がある可能性が高いので要注意です。
 寄付金控除が受けられ納税返礼品がもらえる「ふるさと納税」で各自治体に協力した事が「脱税」と言う結果を招いてしまっては悲劇です。現状では申告義務を怠っている人が大部分のようです。

 寄附をすれば返礼品がもらえる「ふるさと納税」制度は、射幸心を煽る危険が潜んでいるのです。
本来の精神に戻すべきではないでしょうか。