張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

本格的なパラダイムシフトの始まりパート3

具体的な活用事例

 活用事例の一部を紹介します。
1.有機ELテレビを月額7,800円で提供開始
 パナソニックは収益モデルの一環として高額な55型有機ELテレビを月額7,800円で提供。
2.アパレルも定額制の時代
 レナウンは定額4,800円でスーツ2着を定額サービス
 三越伊勢丹は高額ドレスの定額サービス開始。
3.高額産業用機械は既に定着しつつあります。
 建機のコマツはIOTを装着した産業用機械を定額料金でサービスを開始しています。
4.ミシンカェ&ラウンジNICOでは飲食を楽しみながら家庭用ミシンを1時間800円で利用開始。
 自分だけの手作り製品に価値を見いだす人たちで月100人から200人の賑わいを見せています。
5.ベビーカー、自転車、オーディオ機器、ダイソン製品等々。
6.自動車はMaaSと言われる制度によって一挙に拡大するでしょう。メーカーからサービス業に。

失敗事例の特徴
 このような流れの中で、始めて見たものの失敗しているケースも結構あります。サブスクリプションの本質を理解せずブームに便乗してしまった結果です。定額制であれば顧客が満足してくれると勘違いし、我が社の利益を優先させるだけの定額制であったからではないでしょうか。

 利益とは事業を継続する固定費であり、固定費はお客様の満足度によってのみ得られるものです。
これからはマスではなく個の満足度を得るためにどれだけ顧客に寄り添っていけるかに係っているのです。
その秘訣はパート2で示したサブスクリプション時代の対策をどれだけ実行に移すかに係っているのです。
「所有」から「利用」の流れは止まらないでしょう。
 サブスクリプションの項目は以上です。

本格的なパラダイムシフトの始まりパート2

サブスクリプション時代を生き抜く秘訣は

 時代が(所有)から(利用)に流れが変わる今日、どのように対応したら良いのでしょうか。事業経営は環境適用業と言われていますが、サブスクリプション時代を生き抜く秘訣は(所有)と言う概念を捨て去ることです。具体的には
1.顧客と長期的な関係を築くために何をすれば良いのか
2.(所有)ではなく結果を期待する顧客に何をすれば良いのか
3.どうすれば新しいビジネスモデルを生み出せるか
4.どうすれば顧客に継続的な価値を提供し、定期的な収益を増やせるか
5.どのように活用すれば我が社の安全経営が可能なのか
6.どうすれば提供する商品やサービスの付加価値を伝えることが出来るのか
7.どうすればサービスの提供を継続させることが出来るのか
 (上記はダイヤモンド社の「サブスクリプション」より)

 従来の取引環境の下では高価格な物ほど売上が不安定となり、損益面でもキャッシュフロー面でも問題がありました。購入する側でも事情は同じです。ところが利用した分だけ定額で支払い、解約は自由と言うことになれば、売る方も収入が安定し、利用する方も資金繰りが安定し積極的な経営が可能となります。

 あらゆるモノが所有から利用に変わると言うことは、どれだけ消費者に密着するかで勝敗が決まります。顧客一人1人が異なる顔を持っていることを認識し,その認識の上にビジネスを構築する。と言うきめ細かさが求められます。正にマスから個の時代となっているのです。

 今日、リース会計制度が変わり、全てのリース資産を資産計上することを義務づけられていますが、サブスクリプション制度ではどのように扱うのでしょうか。「定額利用」まで資産計上となれば貸借対照表が歪んでしまいますが。

本格的なパラダイムシフトの始まり パート1

 パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的若しくは劇的に変化することを言う(デジタル辞典より)

サブスクリプション革命・・・全ての事業がサービス業になる。
 人は何故モノを買ったりサービスを購入するのでしょうか。それはモノやサービスについている付加価値や効用を求めているからです。その本質を捉えビジネス展開に地殻変動を起こしているのがサブスクリプション革命なのです。基本は(所有)から(利用)への大変化です。

 従来型の成長モデルはモノを生産し、一方ではこれを利用や消費することによって経済サイクルが成り立っていました。ところが、消費の本質が、モノやサービスが持っている付加価値や効用であることに気付いた結果、(所有)から(利用)に本流が変わりつつあります。特に若い世代の変化が顕著です。
 サブスクリプションとはメーカー等が製品を売り切るのではなく、リース契約とは違い、消費者に使った分だけ定額料金で貸し出すことを言います。これからは建機、高額機械、高額家電から始まり、殆どの分野で使った分だけ定額料金を支払う方法が主流となって来るでしょう。

 人がモノを買う方法が様変わりし、消費者はこれまでとは違う期待を持ちつつあります。モノを所有するよりも結果を得ることを好むようになります。標準化されたものではなく、絶えざる改善を望むようになります。
 売り手の都合で行われる計画的な陳腐化ではなく、常に改善を望み、これまでとは違うスタンスで企業に係わろうとします。そこには製品ではなくサービスを求めようとしています。画一的で汎用的なサービスの価値は失いつつあるのです。
 この新しいデジタル時代で成功するためには、企業が変容を遂げる事が不可欠です。新しい顧客は必要な情報やサービスが全て適切なデバイスで、状況に応じて必要なときに提供されることを期待しているのです。
 彼らは車に乗りたいのであって自動車を所有したいのではない。テレビの番組を見たいのであって、テレビが欲しいのではないのです。

消費税軽減税率対応の問題点についてパート3

 そもそもデフレ経済が完全に脱却していない今日、消費税を増税することは過去の経験を全く理解していない証拠です。橋本内閣の消費税増税から今日に至るまで消費税を増税するたびに景気は悪化しています。この経験から景気浮揚を図るために新たな対策案が次々と生まれ,益々混乱を招いていることはマスコミ等でご承知のとおりです。

 不毛の議論が続出しています。たった一つの大衆迎合条文が国民の混乱を招き、格差に拍車を掛ける事態は決して王道とは言えません。デフレ傾向が続く中での消費税増税はやってはならない政策です。増税分が国民の財布から徴収され、これが政府による景気対策に直結するならば問題はありませんが借金の返済の回ってしまったら、経済は失速し,増税不況の再来となってしまいます。
 事実において、先進国の中で過去20年間以上経済成長していない国は日本だけであると言う現実を直視すべきです。

 必要な増税は国家運営には不可欠です。だからこそ王道で行うべきなのです。複雑怪奇な複数税率の強硬は国民の不幸です。国民の生命・財産・安全を本当に望むならば今回の複数税率の実行は見送り、その後のインボイス方式で単一税率10%で実行すべきです。弱者救済は個別還元なとで行う方法がベターです。このまま強行した場合、2年〜3年後の税務調査の大混乱が目に浮かびます。

 本来、国家予算を増税で賄う姿勢は覇道と言えます。本筋では経済政策を積極的に行う姿勢を国家が先導し、企業の好業績を誘導することにより、結果として税収を上げる原則論が主流でなければならないはずです。いつの間にか増税だけが議論され、国家の戦略が曖昧になっていることを糾すべきではないでしょうか。これが王道による国家運営です。
100年の大計を語れる政治家が渇望されています。政治屋は進路を危めます。

 消費税の問題点はパート3で終わります。ご精読感謝感激!!!

軽減税率適応の消費税増税の問題点についてパート2

 政府は消費税増税による景気減退を予測して数々の対策を発表していますが,混乱に拍車を掛けるだけです。本来シンプルであるはずの消費税法を,やってはならない複数税率にしてしまった結果です。国民に計れ知れない混乱を強いて、結果として恐れていた景気減退を早めてしまう危険性が高いのです。
問題点その一 ポイント還元制度の導入
 中小の小売店でクレジットカードや電子マネーなどのキャッシャカードで決済した買い物客に2%のポイントとして還元する仕組みです。ここでは中小企業の線引きをどうするのか、大企業の直営店とフランチャイズ店との区別をどうするのか。カード読み取り機の設置や取り扱いにも混乱が生じ拍車がかかります。また、クレジット会社に支払う手数料の支払いや、入金が遅れることによる資金繰りの悪化と言う影響も出てきます。

問題点その二 酒類を除く飲食料品の取り扱い
 酒類を除く飲食料品の税率は8%となりますからコンビニ等での取り扱いに混乱が生じます。購入品を持ち帰れば8%、その場で食べれば10%。その線引きに混乱が発生することは確実視され、人間不信が造成されます。対策として休憩スペースに「飲食禁止」と張り紙すれば8%対応でOKと言うことですが、レジ係りに負担を強いることになります。,泥縄式でスッキリしません。

問題点その三 自治体などが発行するプレミアム付き商品券の発行
 低所得者の負担軽減のため、購入金額2万円に対し5千円を上乗せする案が主流のようですが、低所得者の把握を誰がどのように行うのか、階層ごとにプレミアム付き商品券の金額が異なるようですが,所得の把握は正確に行われるのでしょうか。新たは負担増が問題となります。

 上記のような大混乱が明らかに予測される中での実施は、本当に国民の為になるのか。不毛の議論ばかりが続出し、結果として消費の減退を招き不況を招いてしまってはかつての轍を踏むことになります。

消費税軽減税税率対応の問題点についてパート1

先ず補助線から
国家とは何か・・・国家とは国民の生命・財産・安全を保証する為に存在すると言われています。これを担保するために国民は納税の義務を課されていることはご承知のとおりです。
覇道とは・・・国家権力を背景にして仁政を装い,天下国家を支配すること。
王道とは・・・徳や仁義を以て天下国家を支配すること。
 支配するためには国民に分かりやすい法律を制定し、予見性を周知させることが大原則であり、立法精神はシンプル・イズ・ベストでなければなりません。・・・補助線終わり

 さて、現在の税法の条文は如何でしょうか。「一読難解、二読誤解、三読不可解」と言われるほど複雑です。この複雑な税法の中でも更に複雑なのが2019年10月1日施行予定の改正消費税法です。
 最初、複数税率の原案が浮上した段階で、OECDから混乱を招くので導入すべきではないと勧告を受けたにもかかわらず,法案を可決してしまいました。

 日本の消費税法は他国の制度であるインボイス方式ではなく,帳簿方式で行われている関係で複数税率には適していないのです。ところが自民党は他の与党の組織票欲しさに,その党の要求である複数税率を呑んでしまったのです。明らかに大衆迎合の結果です。ここから今日の大混乱が始まってしまいました。

 税法は予見性を高め、シンプル・イズ・ベストでなければならないのに、複雑怪奇な税法を作ってしまいました。食品関係が8%の軽減税率、それ以外が10%です。たった二段階だから複雑ではないと思われますが,これが不毛の議論を呼ぶ切っ掛けとなってしまったのです。8%になるか10%になるかの議論は,何の生産性もなく議論の上に議論を重ねる時間の浪費となることは明らかです。これは王道ではなく覇道の世界と言えましょう。

税と司法取引

 最近、税に関する取扱規程が厳しくなってきたことは,事務所通信特別版「税に関する罰則規定の改定について」で指摘したとおりです。今回も新たな法律が6月1日から施行されることになりました。それは「司法取引制度」です。正式名称は「証拠収集等への協力及び追訴に関する合意制度」と言います。
 国税犯則法が廃止され、「国税通則法」に編入されたことは,課税強化を狙ったものと言われています。また、いわゆる共謀罪の対象に税法が入ったことで、税務調査の前に司法警察の介入が法的に可能となり,税務行政に混乱が生じる恐れがあります。

 さて、「司法取引」とは、一定の犯罪に対して,被疑者・被告人と検察官との間で、弁護人の同意がある事を条件として、被疑者・被告人が他人の刑事事件の解明に協力するのと引き替えに、検察官が被疑者・被告人の事件について有利な取り扱い(処分の軽減等)をすることなどを合意する制度です。即ち、共犯者の犯罪を明らかにする見返りに,容疑者や被告人の刑事処分を軽くする取引で、従来の日本にはなかった制度で,今後の捜査・公判に大きな転換点を迎えます。

 犯罪の対象は法律で列挙されていますが,政令に定める財政経済犯罪の中に税法や会社法が含まれていることです。ここで,重要なことは、自分の罪を免れ,あるいは軽減してもらう目的で行われる「虚偽供述」によって、無数の人間の「引き込み」が起きる可能性が極めて高くなることです。
 例えば,会社ぐるみの脱税事件で逮捕された経理責任者が「脱税は社長の指示だった」と供述し、社長が起訴される一方で,本人は起訴を免れるケースも起こりえます。

 司法取引の導入は,先に述べたように虚偽供述などによる冤罪が増えます。もし、社内や取引先などで犯罪が行われた時には会社として司法取引に応じるかどうか対策を考えておく必要がございます。
 その為には内部監査の厳格化、不正行為に対する報告義務化、機密情報漏洩の罰則強化、社内におけるトップシークレット取り扱い強化等の再検討を行い、企業防衛に一層の注意が必要となります。