張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

戦略発想の薦めパート5 TPP ISD条項について

 今日、TPP と言えば農業問題に焦点が当てられ、最も重要なISD条項が殆ど話題に上がらず意図的に隠されているのではないでしようか。農業問題ならば国民の関心が高く、いわゆる食料安保として格好の情報提供となるからです。

しかし、農業問題は食糧安保の関係から財政支出を増やすことで対応することが可能です。日本の農業に対する財政支出割合はたったの15.6%です。アメリカは26.4%、フランスはなんと90.2%です。農業立国と言われる所以です。

 24項目あるTPPの中で最重要課題はISD条項と言われる分野です。ISD条項とは「投資家の紛争解決のための条項」と言われ、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」で採決が行われます。審査の対象は、投資家がどれだけ損害を被ったかだけが問題点となり、反対尋問も出来ず、裁判結果に不服があっても上告が不可能で、しかも審査内容は非公開となっています。もっと重要なことは、この判決は全ての国内法に優先するという異常さです。各国の裁判所よりも上位の決定機関として位置づけられ、まさに国内法の主権の喪失に繋がります。だから政権与党は、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないと明言しているのです。

 ここまで説明すると、日本の企業も相手国で損害が発生したら訴えることが出来るのでお互い様と思う人も存在するのです。以下の事実をご存知でしょう。アメリカの弁護士数は1,270,000人、日本はわずか3万人程度です。アメリカは訴訟大国なのです。

 日本の国内法でアメリカ企業が不利益を被ったと感じた瞬間、大挙して訴訟が発生し、結果として国内法は無視され、アメリカ企業の勝訴。まさにアメリカの国益にかなったTPPなのです。日本市場をこじ開ける最大の武器がISD条項なのです。日本の国益を考えるならばISD条項の削除を求めて交渉する強い態度が不可欠となります。

 安全保障問題と絡められれば抵抗出来るでしょうか。自存自衛の権利をアメリカに委ねてしまった付けが、今、回ってきたのです。

 TPP交渉を農業問題として捉えてしまうと、将来に禍根を残します。
まさに戦略発想の勧めです。脳力開発で言う「両面・主流で考える習慣」、「中心・骨組みで考える習慣」を身につけましょう。
 何事にも反対は個人の自由ですが、戦略発想を習慣にすると視野が広がり、「良心」が納得するようになります。最後までご精読有り難うございました。