張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

生前贈与には細心の注意が必要です!

 既にご案内のとおり平成27年1月から相続税基礎控除が4割りカットされた関係で、相続税の申告者が倍増しているようです。
 そこで、相続税を少しでも安くしたいと考え、生前贈与が盛んに行われていることはマスコミ等の報道でご存知のとおりです。

 生前贈与の内、手軽に贈与が可能な現・預金と有価証券で約5割を占めていますが、手軽さゆえにミスも多く、後日税務調査の事実認定で贈与の事実が否認されるケースがあり得ますので、慎重な対応をして下さい。

 さて、民法の贈与の定義は「贈与は当事者の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意志を表示し、相手方が受託することによって、その効力が発生する」と規定されています。口答での贈与でも契約は成立しますが、税法では事実認定で判断されますから、以下の項目について最低限の注意が必要です。
1.贈与の事実を証するため必ず贈与契約書を作成する。
2.通年贈与で、基礎控除を越える場合は贈与税の申告を行う。
 以上は、一般的な行為として問題はありませんが、最近の判例では預貯金の帰属について事実認定が争われ、多額の相続税が課されるケースがありましたので、以下の項目についても細心の注意を払っておいて下さい。

 裁判所の事実認定では次のように判断されています。
 預貯金の帰属については、名義人が誰であるかという形式的事実のみならず、当該財産を誰が出したのか、使用する印鑑や管理状況はどうなっているのか等について贈与事実の有無を具体的事実に基づいて総合的に判断することが相当である。としました。
 従って、親が印鑑を一括管理していたり、印鑑の使用状況がどうなっていたのか、子供が贈与の事実を知っていたのか、贈与された預貯金が全く使用されていなかったり、子供の住所変更や改姓の手続きも行っていなかった場合、管理、運営払い戻しについては親の判断で行っていたと見なされ、実質的な相続財産として認定されてしまいます。

 税法の基本は、事実認定が原則ですから、贈与契約書を作ったからとか、贈与税の申告をしたからと言って安心するわけにはいきません。あくまでも事実がどうであったかによって判断されますから、生前贈与には充分な注意が必要です。