張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

TPPと安全保障について

ようやく確定申告時期を乗り越えましたので再開します。
聖域なき関税撤廃には反対の立場を取っていた阿倍総理は、3月15日TPP参加を正式に表明しました。
TPPでは農業問題と医療問題がクローズアップされ、米国との交渉で農業問題についてある程度の譲歩を勝ち取ったので参加する意味があると強調していますが本当にそうでしょうか。本質を見失うと将来に禍根を残すことになります。

TPP交渉は21の分野に分かれています。この中で最重要な分野はISD条項です。ISD条項とは「国家と投資家の間の紛争解決手続き」です。具体的に言いますと、日本国が国民の生命・財産について公共の利益を守り、安全を確保し、財産の保全を制定した各種の政策によって、米国の企業が不利益を被った場合、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」と言う第三者機関に訴えることが出来る制度です。訴えが起こされた場合、数名の仲裁人がこれを審査します。ここで重要なことは「日本国の政策が米国企業にどれだけの被害を与えたか」だけを審理することで、他は一切無視されることなのです。しかも、国際条約であるため国内法に優先され、以後の国内法は無効となってしまうのです。重要なのは日本国の裁判制度は全く無視されてしまいます。正にこの条項は「治外法権」を含む毒まんじゅうなのです。従って、交渉時にある程度の譲歩を勝ち取ってもISD条項を適用されてしまえば何の意味のないのです。

TPP参加はかつて、小泉政権の時「年次改革要望書」を米国から突きつけられ、郵政民営化を始め、数々の要望を飲まされた結果、今日のデフレ不況の原因を作ったこと以上に重大な問題なのです。正にTPP参加とは平成の開国なのです。国益のためには不参加の決定が正解です。

オスプレイの導入が国民の反対を押し切って実行されました。何故、米国は反対を知りながら強行したのでしょうか。以下の事実を知れば理解が出来ます。
従来のヘリコプターの性能は時速270キロ、行動半径は140キロです。オスプレイの時速は520キロ、行動半径は600キロ、空中給油付きならば1,100キロです。数倍の性能は何を意味しているのでしようか。

実は尖閣諸島は沖縄から約200キロです。また1,100キロの行動半径は中国本土まで充分可能です。
尖閣問題の安全保障と、中国国内のアメリカ人緊急時の救出のために配備されたとするならば考え方は変わってしまいます。オスプレイの存在が尖閣問題の抑止力になっているのです。

戦後、安全保障問題をタブー視して米国依存べったりのツケが今、顕著になって来たのです。安全保障問題を絡ませて、TPP参加を強要されれば我が国は断る術を持っているのでしょうか。自分の国は自分で守る気概を失った我が国の悲しい現実が今、起きようとしているのです。訴訟天国米国がISD条項を本格的に適用してくれば日本文明はいずれ崩壊するでしょう。

サムライ日本の復活の時は今です。今こそ国防について真剣に考えるときではないでしょうか。