張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

悪魔の選択 遂にTPP参加表明

民主党は今回の衆議院選挙に先立ち政権公約を発表しました。その中にTPP参加表明が明記されていたことはご存知でしょう。

TPP参加については賛否両論がありますが、その内容についての議論は殆ど行われていません。あるのは農業が関税撤廃で壊滅的な打撃を受け、食糧自給率が低下して、自然が破壊されるとか、国民皆保険制度が混合医療によって破壊され、弱者が切り捨てられるなどマスコミで話題になっていますが、本質は別のところに隠されています。

TPP交渉の中身は24項目に分類され、この中で最も危険な項目はISD条項と言われるものです。ISD条項とは「投資家対国家間の紛争解決」の条項です。国際条約ですから国内法に優先し、紛争に負けた場合は損害賠償は勿論、以後の国内法はそれに沿って修正する義務を負っているのです。これは正に明治維新で辛辣をなめた不平等条約に等しいものです。

紛争の解決は国際投資紛争解決センターで数名の仲裁人が判断を下します。しかも、その判定は強制力を持ち、不服があっても上訴出来ない仕組みになっています。

何故、米国はTPP参加を強要するのでしょうか。米国は訴訟天国と言われています。120万人の弁護士がいます。この結果、紛争解決は肥大化し、何でも訴えるルールを押しつけるのが真の狙いです。国の最も基本である軍事を全面依存している日本に、押し返す力があるでしょうか。

例えば、日本に進出してきた企業が、日本の制度によって損害を被ったとして訴え、勝訴になれば損害賠償と共に、日本の制度そのものが破壊されてしまうのです。

かつて、サミエル・ハンチントンは「文明の衝突」という著書の中で、日本は一国一文明を形成し、極めて特異な存在であることを証明してくれました。日本の数千年に及ぶ特異な存在は、世界から見れば異質な国です。しかし、これこそが世界の中の日本なのです。この数千年に及ぶ良き伝統をISD条項を適用してこじ開け、米国の都合の良いように牛耳る事が真の狙いなのです。

過去に米国の年次改革要望書によって、小泉構造改革が行われました。今日、その結果について日本経済はどうなったのでしょうか。世界で唯一デフレ不況に陥り、ズタズタになっています。
今度のTPP参加は小泉構造改革の比ではありません。日本国家そのものの存在が問われているのです。
TPP参加は正に悪魔の選択と言えるでしょう。