張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

ピント外れ

 日本航空が経営危機に直面し、「企業再生支援機構」の支援を受けることとなり、赤字路線16路線が廃止または撤退と発表された。信州まつもと空港についても撤退の方向で動いており、長野県や地元松本では、村井知事や松本商工会議所が続行を求めて精力的に行動している。

 行動の中身は、県や市が行動しやすいようにバックアップするとか、地元の熱意を示すことが大事であるとか、廃港になれば観光やビジネスにダメージが大きいとか、およそ本質から外れた議論ばかりでピントがずれている事に気付かないでいる。これらの議論は評論家や経営責任のない人種が行う議論である。日本航空の立場で考えれば答えは一つしかない。万一、赤字路線を継続したら株主から経営責任を追及されて、一発で馘首である。だから今のままでは存続は極めて困難である。

 本質は何か。
 航空会社は運送のサービスを行うことに存立基盤がある。運行サービスの正否は利便性の追求であるはずである。何故、信州まつもと空港が赤字に転落したのか。利便性が極めて低いためである。
 例えば雨が少しでも降ったら運行中止だとか、ダイヤが不便とか、国際線とのアクセスが不便とか、これらの問題を解決する姿勢を示さずに協力を要請することはあまりにも戦術論に偏りすぎ効果は薄い。

 折角信州まつもと空港を利用して旅行をセットしたのに雨のため運行中止になってしまえば、全ての行程がメチャクチャになってしまう。こういう経験者は二度と空港を利用しなくなる。海外に行くときにも直接国際空港への乗り入れは不可能である。これでは利用率が低下し、赤字路線になるのは当然である。

 長野県ホームページ(信州まつもと空港)では、利便性が低い理由を羅列するだけで、どうすれば向上するかという発想が皆無である。
 曰く、滑走路が短すぎる。曰く、羽田や成田は立川基地の関係で飛行制限がある。曰く、地元の協力が得られない。曰く、「計器着陸装置」の設置が困難。曰く、ダイヤの改正は困難等々。出来ないことの羅列である。これでは解決は不可能。
 リーダは以上の困難を如何にしたら解決して利便性を高め、地元住民の協力を得て黒字路線に持っていくかを考えるのが本質だと思う。そうなれば必ず路線は復活する。
 リーダーはサラリーマンではないのである。経営感覚をもっと磨くべきである。