張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

伝統工芸の危機

 先月24日、NHKテレビ、イブニング信州を見ていたら、見慣れた人が出ていたので思わず注視した。この人の技術はちゃぶ台作りで日本一と言われ、後継者に技術を教えてもどうして出来上がるか納得して貰えないほど精工で複雑の技であるという。

 数年間自然乾燥させた天然無垢材を一週間掛けて丹念に仕上げたちゃぶ台は、肌触りの良さ、温かみ、柔らかさを保ち、実物を一度でも見てしまえば、たちまち虜になってしまう代物である。その人の名は「藤沢昭雄」と言い、根っからの伝統職人である。本人曰く、「作ってもらって良かったと言う感謝の気持ちが生き甲斐である」と。

 現在は、とある伝統工芸商社の協力工場として働いているが、これだけの技術を持ちながら、決して豊ではないのである。何故なのか。素晴らしい技術を持ちながら価格決定権を持っていないためである。何故持てないのか。それは自らの販路開拓を伝統工芸商社に依存してしまったためである。

 物作りだけに集中してしまったため、マーケットの動向を疎かにしてしまった。最近、マーケット情報を調べてみたら、銀座にあるショールームでは工場出荷価格の3倍の値段で売られていたことが判明した。例えば工場出荷額が20万のものは、最終販売価格が60万円と言うことである。これでは、いくら伝統工芸と言っても経営の維持は困難となるかも知れない。自ら販路を開拓せず、価格決定権を持たない企業の悲劇である。これでは日本から伝統工芸が淘汰されてしまう危険が一杯である。

 解決策はあるのか。あります。自ら販路を開拓し、価格決定権を持つことです。そんなこと出来るのか。出来ます。伝統工芸品は少量生産で高価なものです。小企業がマーケットを広げる為のツールがインターネットの活用なのです。少量で高価なものはマーケットを広げることが不可欠です。今はマスマーケティングの時代から個の時代です。最適な手法がインターネットの活用なのです。これで直接消費者に結びつくことによって流通マージンがカットされ、伝統工芸を維持するための付加価値を生み出すことが出来るのです。あと一つは、実行するかしないかの選択だけなのです。
 伝統工芸の火を消さないよう頑張ってもらいたいと念願しております。
 NHK録画を希望する人はDVDを差し上げます。