張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

浮利を追わず

 住友財閥系の企業は、堅実経営で知られている。この理念の根底には「浮利を追わず」の精神が脈々と流れている。1891年に制定された理念には次のように述べられている(住友商事HPより引用)
 第一条 住友の事業精神の基本は何よりも「信用を重んじること」
 第二条 社会の変化に迅速・的確に対応し、利潤を追求すべきであり、既存の事業に安住する事なく 
     常に事業の興廃を図る、と言う積極進取の精神の重要性を示し、その上で浮利(一時的な目先
     の利益)を追求し、軽率、粗略に行動することを戒め、信用と誠実の大切さに言及しています
 百年以上前からこのような理念が生きていたことに驚くと共に安全経営の秘訣が理解できる。

 翻って昨年秋からの経済の状況は、まさに「浮利を追わず」の逆を行っていたために、世界的不況の原因を作ってしまった
 高度な金融工学を駆使し、コンピューターを利用して無制限な金融利潤を追求するあまり、資金の70倍近くまでレバレッジを効かせた挙げ句、サブプライムローン破綻で一挙に崩壊し「賭博資本主義」の化けの皮が剥がれてしまった。本来、金融はゼロサムゲームであり、誰かが儲かれば、そのぶんだけ誰かが損をするシステムである。製造業のように付加価値を創り出す事は出来ない。しかし、金融崩壊は実体経済に影響し、あらゆる産業に急ブレーキが掛かってしまう。これが今日の状況で荒波に耐えうる覚悟が不可欠である。
 軍需と金融が崩壊してしまったアメリカ経済は1929年の再来かと言われ、立ち直るのに相当な時間が必要である。
 一方、我が国は技術立国で製造業が中心となり付加価値を創造できる体質を以て世界に貢献している。
 「賭博資本主義」が完全崩壊した今日、世界は日本の製造業に依存しなければならない時が訪れる。
 働くことに喜びを感じるDNAを持った日本が、世界をリードする時代がついに到来。中小零細企業の経営者の皆様、しっかり足下を見つめて頑張ろう。