張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

仕入原価の145倍で商売が出来る美味しい話

 ここに2社の経営理念を記載します。どちらがどの会社か解りますか?
 「我が社は人間尊重の精神とお客様第一主義に基づき、創造と革新の経営を通じて、楽しく豊かなパーソナルライフの実現と生活文化の向上に貢献する」もう一社の経営理念は「健全経営を堅持し、もって地域社会の発展に寄与する」です。解りましたか? 解らない人がほとんどでしょう。経営理念と実際行動が伴っていないからです。

 前者は、あこぎな取り立てで有名になった消費者金融会社「アコム」の経営理念です。後者は堅実経営で業績がよい地方銀行の「八十二銀行」の経営理念です。

 ところで銀行業務の仕入に相当するものは何でしょうか?以前は日銀の公定歩合でしたが、現在ではコールレート翌日物がそれに当たります。つまり、銀行はコールレート翌日物の金利を支払い、これを必要としている企業や個人に金利を上乗せして貸し付けているのです。景気悪化でこのコールレート翌日物の11月現在の金利は0.101%です。

 最近、テレビコマーシャルや新聞折り込みに八十二銀行の「かん太くん」の宣伝が目立つようになっています。これによると利用限度額に応じ年9.0%~14.5%の金利となっています。しかもあの「アコム」の保証が前提となっているのです。
 つまり、0.101%で仕入れた資金を9%~14.5%で貸せると言うことは仕入れ価格に対して90倍~145倍の売値を付けて販売していることになります。

 信用が第一の銀行業務で、消費者金融の「アコム」の保証を付けて、上記の倍率で貸し付けを行うことに、地方銀行消費者金融の区別をどのように付けたらよいのか判断に苦しむのは小生だけだろうか。
 極端に言えば弱みにつけ込む姿勢が強すぎるのではないだろうか。真っ当な金融業としての矜持はどこに行ったのか。当たり前と思っている現象にとんでもないモラルハザードが起きているのです。この結果、給与水準が他業種に比べて高いのだろうか?いずれにしても美味しい話です。