張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

最近、世界中で社会的・経済的に大きな混乱が続いています。その原因の仮説③

 こうして、プロテスタンティズムの信仰が、結果として近代資本主義を誕生させ、それを発展させた。しかし、近代化が進展するとともに信仰が薄れていくと宗教としての色彩が弱まり、利潤追求が自己目的化するようになってきた、「内からの動機」に基づくものであった利潤追求が「外圧的な動機」によるものに変貌していった。そして、近代資本主義社会では、外圧的な動機付けによって、それに適合した人間と資本主義の精神を再生産しながら働き続ける。
 但し、それは内面的な動機によって支えられたものではない、その為、そこに現代資本主義社会の存続の危機があるのである・・・マックスウエーバーの解説はウキペディアより参照。

 本来の経済は、モノを生産することによって付加価値を得、流通手段として資金を利用してきた。ところが、最近の傾向は高度な金融工学を駆使して、資金そのものを売買することによって金儲けする極限にまで発達し、本来の資本主義の精神を破壊しつつある。いわゆる賭博資本主義の横行である。極端なヘッジファンドの横行と超高速コンピューターの利用によって、為替や資源価格や株価の乱高下が極限に達し社会不安の原因を作っている。

 これによって富は著しく偏在し1%対99%現象が世界中に蔓延している。かつて経済学でトリクルダウン理論が流行ったことがある。一部の富者に富が集中しても、いずれ水がしたたり落ちるように貧者の経済に貢献するという理論である。今日では机上の空論として理解されるようになったしまった。経済学者の希望的願望が招いた空疎な理論として忘れ去られようとしている。

 利潤の追求は「隣人愛」の実現のためであったと言う本来の精神を自助作用で取り戻さない限り、やがて賭博資本主義は崩壊に向かって進むことになる。

 ところで、次期のアメリカ大統領のとして共和党のトランプ氏が指名獲得を確実にしてきた。当初、異常な言動で泡沫候補と言われ、ローマ法王からもキリスト教徒ではないと非難されたこともある。しかし、今日から考えるとローマ法王の非難は読み間違っていたと考えられる。指名が確実になったと言うことは国民の支持があったためである。これは支持を表明した国民の真意を読み間違えたと言えないか。
 本来、ローマ法王キリスト教の精神的支柱である。今日の行きすぎた賭博資本主義の横行に対し何らかのメッセージを表明し、本来の姿に戻す努力が必要ではないでしょうか。
次号に続きます。