張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

金融機関の矜持は何処に行ったのか?パート1

 先ず言葉の定義
 「矜持」とは、自信と誇り。自信や誇りを持って堂々と振る舞うこと。
 さて、次の文章は何処の経営理念でしょうか。
 「健全経営を堅持し、以て地域社会の発展に寄与する」
 「当行は、お客様と株主の皆様及び従業員の幸福と繁栄のために全力を尽くします」
 「金融機関の健全性、適切性を確保し信用の維持・向上に取り組み以て地域社会の発展に尽くします」
 上記の文章はある地域の金融機関3行の経営理念です。誠に立派な経営理念と言えます。

 バブルが崩壊して22年が経過しました。崩壊後資金需要の低迷から低金利が当たり前となり、多くの金融機関の淘汰が行われたことはご存知のとおりです。さらに最近ではマイナス金利にまで突入し、金融機関の体質は、かつての黄金時代から劇的に変わってしまい激しい貸し出し金利競争に明け暮れています。

 生き残りを賭けた体質にはどこかに無理が生じ、時には社会問題となるケースもあり、かつての「矜持」が失われつつあります。

 その一つの表れが金融機関の利益相反問題です。金融自由化を利用してお客様の意向を無視し、自行に有利な金融商品(生保や投信)の勧誘を行い手数料収入が各支店のノルマとなって問題視されたり、相続税の改正に乗じ相続時に有利なアパート経営を薦め、建築資金を融資する傍らで建設業者から紹介手数料を要求する利益相反が話題になったのはつい最近のことです。

 更に7月に入り金融機関のカードローンの実態が報道されたことはご存知でしょう。
かつて、悪質な貸金業者を取り締まるために貸金業法を改正し、利用者の年収の三分の一を超える貸し付けが禁止されました。高金利適用の禁止と総量規制によって消費者金融は淘汰され、生き残った業者は金融機関の子会社となったり提携先となって今日まで続いています。
以下は次号で。