張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

歴史の教訓パート2 項羽と劉邦

項羽を「垓下」に追い詰め包囲したとき劉邦は楚の国の歌を部下に歌わせます。自分の味方と思っていた楚軍の歌が聞こえたとき、我天命に非ずと悟り、烏江で妻の虞美人と共に命を絶ちます。後の「四面楚歌」の故事の由来となり、赤い花の虞美人草の由来も妻の虞美人からのものと言われています。
劉邦は王道によって天下を取り、項羽は覇道によって天下を失いました。

 中国古典には、宇宙の調和と人間の生き方を説いた著書が多数存在しています。逆説的に言えば、古典の教えどおりに行動していれば書物の必要性はなくなり今日に伝わらなかったのではないでしょうか。数千年にわたって生き残ったのは古典の教えに反した生き方をした反面教師と言えます。
 現実はどうでしょうか。最近、象徴的な報道で大騒ぎになっていることをご存知でしょう。政府の機関誌が習近平を讃えるための記事を掲載しました。最高の指導者習近平と書くところ、最後の指導者習近平と書いてしまったのです。絶対にあってはならない重大ミスです。
また、いわゆるパナマ文書の衝撃的な報道もご存知でしょう。反腐敗運動で権力を確保した本人の親族が租税回避地タックスヘイブン)を利用して多額の資金の存在が暴露されてしまったのです。正に蟻の一穴。何かが起きる前兆ではないでしょうか。

 歴史的に徳を重んじる国で、異常なほどの腐敗が横行し、過度な粛正が経済を減速させ、人心が荒廃。
外に対しては王道とは真逆の覇道で周辺諸国をトラブルに巻き込み、我が道を武力で制覇しようとしている姿勢はいずれ「四面楚歌」となるのではないでしょうか。

 世界第二位のGDP大国ならば、王道の精神で行動すれば、やがて周辺諸国は徳に従い世界平和に貢献することが出来ます。にもかかわらず相変わらず覇道で対処する姿勢には曰く不可解ですね。
 天下を取るという戦略では項羽劉邦も同じでした。しかし、戦略を実現するための戦術において差が出てしまったのです。
 項羽は目的のために手段を選ばず、敵を殺傷、部下の進言を退け独断専行。これでは大軍を意のままに動かすことは困難です。
 しっかりした戦略を立て、それを実現するための具体的な戦術を立てることが、生き延びる道であることを紀元前200年頃に教えてくれています。正に温故知新です。