張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

戦略発想の薦め パート1

 今日、会話の中で戦略とか戦術の言葉が多用されています。しかし、現実には戦略と戦術を明確に区分しないで使っているケースが殆どです。これでは、持って生まれた140億個の脳細胞を有効に使うことは出来ません。

 脳の特徴は、明確な目的が与えられると24時間フルタイムで目的達成のための方法を潜在意識に働きかけて、自動的に解決する脳力を備えているのです。昔から事をなすには「信念」が大事であると言われている所以です。

 それでは、脳をフル活用するための戦略と戦術の定義を明確にしておきましょう。戦略と戦術の定義は千差万別ですが、ここでは以下のように定義します。
 「戦略」の定義とは①現在の状況を把握し②その先にあるあるべき姿を想定し③そこに行き着く方法を考える事。です。
 「戦術」の定義とは、戦略を実現するためのあらゆる手段や方法を具体的に考える事。
 戦略は、企業に当てはめればおおむね「経営理念」に該当します。経営には理念が不可欠であると言われている所以です。

 さて、紀元前200年頃の中国。漢の国、劉邦と楚の国、項羽漢楚の戦い。戦いにめっぽう弱い劉邦と、戦えば必ず勝利するという最強軍団の武将、項羽。天下統一に向けて激しい戦いを各地で繰り広げていました。劉邦の傍らには常に参謀役の「張良」が控えていました。項羽を破り漢帝国を樹立した劉邦は、論功行賞の第一に「張良」を挙げました。
 劉邦曰く「謀を帷幄の中に巡らし、千里の外に勝利を決した」と言って褒め称えたと言われています。まさに張良は天下統一という目的に向かって、強敵項羽を撃つための対策を蚊帳の中で熟慮し、その戦術を遠い前線に指示して勝利を収めたのです。参謀の鏡として今日でも高い評価を得ている人物です。

 それでは、今日の状況について戦略発想から考えて見ましょう。
 一つは今国論が二分されている集団的自衛権問題です。二つ目はTPP問題です。戦略論で考えればこの二つは底流で完全にリンクしていることです。

 重要なことは、何事においても反対論を唱える人は戦略論を完全に無視し、必ず戦術論から入ると言うことです。戦術論から入れば世論の誘導が簡単で、枝葉末節の議論に持ち込み、重箱の隅をつつくような些末な事柄に引き込むことが可能となるからです。大きな特徴は、具体的な対策は皆無で、反対のための反対に終始し、感情論を優先し、抽象的な言葉が横行することです。
 次回はパート2です。