張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

勘定あって銭足らず

役員退職金の資金確保の話です。

法人税法の役員退職金は相当額であれば経費として認められます。その相当額とはご承知だと思いますが最終月額×勤続年数×功績倍率で計算できます。功績倍率は社長業で3倍、それ以外の役員は1倍ないし2倍が一般的です。この計算方式で経費として計上できる最高限度額は決まりますが、その資金の手当ては出来ていますか。正に勘定あって銭足らずの場合があるのではないでしょうか。

それでは、資金確保にはどのような方法があるのでしょうか。一つは国の共済制度を活用する方法です。「小規模企業共済制度」です。小規模企業の個人事業主、会社等の役員が、個人事業の廃業、会社の解散、疾病、負傷による退任した場合、第一線を退いた時の生活の安定又は事業の再建を図る資金を予め準備しておく公的な制度です。

税法上、一括受取は退職所得、分割受取は雑所得として取り扱われます。月額掛金は千円から最高7万円まで。全額が個人負担で所得から控除されます。但し以下の加入資格の制限があり、超えると加入資格を失います。
従業員の数が20名以下(建設業、製造業、農業、運輸業、不動産業)
従業員の数が5名以下(卸売業、小売業、サービス業)

生命保険の活用について
小規模企業共済制度の人数制限を超える企業や、より自由度を考える企業については、民間の生命保険を活用する方法があります。勇退時の退職金確保には解約返戻金を利用した保険。万一の場合に備えては掛け金の安い掛け捨て保険、保険料は高いが安全・安心な終身保険等、加入する条件によって選択肢は増えていきますので、知り合いの専門家に相談し、加入者のための最適条件を提示して貰うようにしましょう。

第一線で活躍した経営者は勤続年数が長いので、計算上では多額の退職金を経費として認められます。しかし、支払資金がないと意味がありません。金融機関から借り入れして払えば金利負担や返済資金で資金繰りが苦しくなります。上記の方法は会社の実情に合わせて長期にわたって契約するため毎月の資金繰りを痛めない方法として検討して下さい。