張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

サービスのはき違えパートⅱ

前回はサービス精神のかけらもない悪い事例を紹介しましたが、今回は、これが本当のサービスと言う事例を「日経スペシャルガイヤの夜明け」、昨年12月11日に放映された"感動のサービス"が客を呼ぶ!から紹介します。

事例1 資本金一千万円、株式会社サニーテーブルが経営する東京青山のレストランcasitat(カシータ)。
バイクの輸入業を経営していた一人の男(高橋滋)が、レストランの経験が全くない素人にも拘わらず、愛と感動のレストランを経営理念として数年前に立ち上げました。普通の経営者ならば売上や利益が心配になります。これは経営者として当然のことです。しかし、高橋氏は違っていました。毎日たった一つの質問を自問自答していたのです。それは、「今日何人のお客様を感動で泣かせたか?」たったこれだけです。それが今では飛行機に乗って沖縄や北海道からもお客様がわざわざ訪れるようになったのです。

客単価は約一万五千円の高級店。ところがディナーは常に満員で予約も一ヶ月先まで一杯。しかも広告費ゼロ、口コミだけで人気が広まってしまったのです。予約は3人の専属スタッフが事前にリサーチして徹底してお客様の情報を収集し、これに基づいて一時間に及ぶ会議で、感動を呼ぶホスピタリティ(思いやり、心からのおもてなし)を実践します。感動のサプライズがお客様の琴線に触れ、瞬く間に10億円を超える企業に成長させました。

事例2 全国展開の書店tsutaya
昔の本屋のイメージは立ち読み禁止が当たり前でした。ところが最近立ち読み自由、椅子まで用意して有料で喫茶のサービスをするようになり、子供の遊び場を用意する書店も人気となっています。とにかく集客の工夫を必死で行っています。
大手薬局チェーンの「マツモトキヨシ」は女子高生が集まるように多少の万引きを織り込んで経営していると言われています。

tsutayaの作戦はコンシェルジュを37人も養成したことです。コンシェルジュとはホテル業で「総合案内係とか、よろず相談承り係り」と言われていますが、最近では多くの業界が利用するようになっています。経営的には人件費のコストアップに繋がりますから敬遠されがちですが、お客様のサービス向上を考えて敢えて採用したのです。本屋に来るお客様は様々です。来店者のあらゆる相談をプロとして対応し、満足度を高めています。生き残りを賭けた書店の新たな挑戦です。

二つの事例からの教訓は、普通の常識からの発想ではないことです。何故このような発想が生まれるのでしょうか。その答えは、我が社は何のために存在するのかと言う命題を経営理念として、これを確実に実行しているからです。「理念型経営」を常に薦める所以です。