張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

原著40万部、漫画170万部、合計210万部の驚異的現象について

 最近、1937年に刊行された吉野源三郎の歴史的名著「君たちはどう生きるか」の新装版が40万部、これを漫画化した本が170万部、合計で210万部の驚異的ベストセラーが話題になっています。
 原著はいわゆる哲学書です。哲学の本が81年ぶりに話題になるにはそれなりの理由があるはずです。
 発刊当時と現在を比べるとあまりにも類似点があり、波動的に共鳴しているからだと考えます。

 先ず、1936年にはご存知のとおり2.26事件が起き、これを契機に軍部の力が増大。1937年には盧溝橋事件から日華事件が勃発。同年首都南京を陥落させました。戦勝気分が高揚する中で国民一人1人の心の中に将来に対する言いしれぬ不安が醸成され、人間如何に生きるかと言う問に応える形で、当時ベストセラーになったと考えます。

 現代はどうでしょうか。
 平和憲法を守護していれば平和が持続すると考える一国平和主義が、現実の世界では全く通用しないことが、北朝鮮の核の脅威や中国の海洋進出の暴挙、ロシアの択捉島の軍備増強などによって、いやが上にも目覚めさせられ、安全と平和を他国に頼ってきた過ちを知るにつけ、国民の不安が現実のものになっています。

 加えて、今日AI技術の驚異的進歩により、本来人間の付加価値を高めるための道具として活用されるべきAIが人間の職業を奪い、挙げ句の果てに人間を凌駕してしまうシンギュラリティの時代が来ると予見されるようになりました。このような不安心理が驚異的ベストセラーを生んだと思います。

「この世に不要なものがないように、この世に偶然事はありません。この世に存在するものは全て必要なものであり、この世に起きることは皆必然です」・・・(船井幸雄語録より)
 この驚異的ベストセラー現象をどう捉えるべきか。必然である以上、物心両面に渡る本物志向が従来以上に強く求められる時代に入ったと認識すべきでしょう。