張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

金融機関の矜持は何処に行ったのか?パート2

 低金利で融資先の開拓が思うように行かない金融機関はここに活路を見いだしました。年収の三分の一以下と言う総量規制は金融機関には無いので貸し出しは自由です。現実の貸出審査は子会社である消費者金融が行うため審査が早く、金融機関の信用力も重なって急激にシェアーを伸ばし、今日ではカードローンの貸出残高はなんと5兆円を超えています。

 銀行ローンだから金利は安いと思いきや最低で年利8.5%最高で12.5%。これだけの金利を払えば常識から考えて継続は不可能です。この結果、自己破産者が急増。2016年では遂に6万4千件にも達しているのです。これでは経済的弱者を救うどころか、首を絞めてしまうという事実がマスコミ報道となりました。今や金融機関のモラルが問われる時代です。

 金融庁はこの実態を重視し、安易な融資にブレーキを掛けざるをえなくなりました。
 折角、立派な経営理念を掲げ、矜持を以て地域の金融機関として君臨してきたかつての姿は何処に行ってしまったのでしょうか。

 経済的弱者は返済計画が杜撰だから危険負担を考慮して高金利を頂く、これは経済原則から見てある程度は妥当性があります。しかし、社会問題になるような融資には自制が必要でしょう。これが最小限の矜持と言えます。

 森金融庁長官の基本姿勢である「地域の企業を育てる金融機関」であって欲しいと思います。定量分析に終始する事なく目利きを持った定性分析を徹底して行い、企業を育てる姿勢を貫けば経済的弱者からの利益に期待することなく健全経営が約束されると思いますが。
 本来、このような高金利をマスコミを使って堂々と宣伝する姿勢に違和感を持つのは私だけでしょうか。正に矜持の崩壊と言えます。