張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

急増するアパート建設の落とし穴

 平成27年相続税増税対策として賃貸アパート経営が急増し、各地で様々な問題が起きています。
①錯覚から起きる問題点
 賃貸アパートを経営すれば相続税が軽減されるという現実があります。確かに、アパート経営を行えば貸家建付地として認定され、土地の評価額は平均して15%程度減額されます。この規定を活用してアパート経営が急増していますが、これは明らかに錯覚です。相続税法ではアパート経営を推奨して安くしているのではないのです。更地に比べ借地権、借家権、居住権が発生し明らかに価値が減少します。だから相続税法でも価値が減少した部分について評価減をしているに過ぎないのです。本来、更地ならば自由が効きますが、一旦賃貸アパートにすると何十年にわたって不自由を余儀なくされ、空室の増加によっては不良資産となってしまう危険をはらんでいます。悲惨なケースはマスコミで報道されているとおりです。

②アパート融資の異常な膨張
 金融機関はマイナス金利による収益悪化をカバーするため、個人に貸し出すアパートローンに殺到。この結果貸出残高は4兆円にもなってしまいました。特に地方の金融機関は5年間で1.7倍にも融資が膨らみバブル状態です。実需を無視した不便な土地に融資したり、空室増加でローン返済に問題が生じています。

利益相反の常態化
 今、利益相反問題が明らかになってきました。金融機関は積極的にアパート経営を推奨しています。この際、建築情報を建設業者に紹介し、紹介手数料を受け取っているのです。また、自行に有利な保険商品や投資の勧誘を行い成功報酬を受け取っています。これは明らかに利益相反となります。何故、利益相反となるのか、金融機関に支払われた手数料は支払先のコストになり、このコストが転嫁されて施主や保険等の購入者が不利益を被るからです。
 この事実が発覚し金融庁は今年の3月以降厳しい行政指導を行うようになりました。

金融機関の本来業務は資金提供を通じて企業の成長を支援することではないでしょうか。