張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

壮大な実験パート3

 国際競争力の観点から、この壮大な実験は成功するのでしょうか。
誰でも品質が良くて価格が安ければ優先的に購入するのが普遍的です。鎖国でもしない限り国際競争力を高めるために低開発国に生産拠点を移すことは自然な行為です。

 生産拠点の選別は、国内の治安問題もありますが、賃金格差が核心となります。今、問題になっているアメリカとメキシコの賃金格差は5倍~10倍です。アメリカ国内の多国籍企業は当然のこと、アメリカに輸出する他国の企業もメキシコに生産拠点を持ちます。NAFTA協定がある以上当然の経済行為です。
 ところが、一国鎖国主義でNAFTAからの輸入に重い関税を課せたらどうなるのでしょうか。国内販売価格は関税分だけ高くなります、さらに国内回帰で生産することによって人件費の増加分だけコストアップになります。

 国際競争力の観点から、関税で高くなったり、コストアップで高くなった商品を、国民は一国平和主義だから仕方がないと言って喜んで買ってくれるでしょうか。確かに、雇用が回復され短期間では成功するように見えますが、夢から覚めたら全てが物価高となっていた。と言うのであれば消費行動は低迷し、こんなはずではなかったと批判が高まるでしょう。

 アメリカ車を日本が買わないのは怪しからんと言っていますが、日本の関税はゼロで、ヨーロッパからの輸入車は人気を博し好調です。どうすれば日本人に買ってもらえるかの努力もせずに、文句を言うばかりでは、大国の威信が廃れてしまいます。

 今日、中国は世界第二位の経済大国となって世界進出を進めていますが、力を背景に強引な行動が目立ち、各国から非難され、国際的に孤立状態です。正に「覇道」が招いた結果と言えるでしょう。
 一方アメリカは今日まで世界の盟主として「王道」を歩んで来ましたが今回の一国平和主義を強引に貫くならば世界秩序は崩壊し「覇道」の世界が出現するかも知れません。
 「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」と論語が諭しています。トランプ大統領論語を知っているのでしょうか。