張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

様変わりする地域金融機関

中小・零細企業にとって強い見方になれるか。
 金融庁の行政指導が森金融庁長官の誕生で劇的に変わろうとしています。
それは、「金融行政の目的」を明確に打ち出したことです。その目的とは「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大がもたらされること」。この目的実現のために金融業界は大きな変化を求められているのです。変化を先取りした金融機関は生き残り、旧態依然とした対応の金融機関は淘汰されることを示唆しています。

従来の金融機関のあり方
 地元の金融機関は,担保と保証と金利ばかり気にして、地元事業者の事業内容を真剣に見ようとしていない現実が中小企業1千社のヒヤリングから浮かび上がってきたのです。
一つは、バブル崩壊によって不良債権が顕在化し、不良債権を生み出さないための銀行経営として「金融検査マニュアル」の厳格な対応を求められたことです。この結果、金融検査マニュアルに合格することが目的化されて地元事業者の育成は全く無視されてしまったのです。

二つは、金融危機を脱出するため信用保証制度が拡充され、金融機関は100%保証が可能となったため,ノーリスクで融資を行えるようになり,金融機関の本業であるプロパー融資が激減した結果、最も大切な「目利き」の能力が極端に低下してしまったのです。これで,本業である貸し出し収益が低迷し、国債や高リスク債権などの有価証券運用に傾き,リスクを蓄積、ここにマイナス金利の導入で業績はますます悪化しているのが現状です。

これからの金融機関のあり方・・・事業性評価への質的転換
 これまでの担保や保証や金利、財務内容だけで判断してきた融資を事業性評価という新しい判断基準で実施することが確定しました。
 事業性評価とは、企業の事業内容や将来性を見極めて顧客の課題を解決する手法で、製品サービス、顧客基盤力、営業力、生産力、技術力、組織力等を重視した融資やコンサルタント機能を発揮し,取引先企業の成長を促すことによって共存共栄を図る方法です。
 積極的に事業性評価を実施しない地域金融機関は、強制的に市場から退場させられるため、今後は事業性評価を行わざるを得ない環境が整ったと言えます。
 まさに、中小・零細企業にとって最も頼りになる地元金融機関の誕生となるでしょう。