最近、世界中で社会的・経済的に大きな混乱が続いています。その原因の仮説④

　一方、イスラム教の経済理論はどうなっているのでしょうか。
イスラム教の経済理論は、企業活動や私的財産の所有を是認はするが、同時にそれは社会正義と普遍的善との整合性がなければならないとされるている。イスラム教では、非生産的と見なされるものは、何も努力をしないで報酬を得る事である。イスラム教では利益を獲得するものは労働するものでなければならない。つまり､ギャンブルや他者を搾取することで獲得した収入は不当とされる。富は神に捧げる手段であり、それ自身が目的となってはならない。

　現在のイスラム経済思想に特徴的なのは
第一に欧米の経済原理に対してイスラム経済が持つモラルの高さを説く点である。
第二の特徴は「リバーの禁止」で、利子を取らないイスラム銀行の形態を望むことである。また、利子の禁止と並んで､欧米の物質主義と結びつくとされる投機や浪費的な消費も禁じることを訴える。
　これらは生産意欲を減退させ､価格の高騰をもたらし､更に決済発展に必要な資金までも奪うと考えられている。
三番目はイスラムの五行の一つである「喜捨」の重要性を認めていることである。

どうですか。本来、同根である一神教の宗教が、ここまで考え方が乖離することには驚きです。宗教学者の間では宗教体系的にはイスラム教がキリスト教より後から出来上がった関係で､体系的に優れているという評価は当を得ていると言えるのではないか。
次号に続きます。