張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

30年一括借り上げ制度(サブリース)の罠

 5月11日放映、NHKクローズアップ現代で、30年間一括借上制度、いわゆるサブリースの危険性について、その実体が報告されました。一流のハウスメーカーが詐欺まがいの手段で勧誘し、その実体が明らかになったのです。

 今年度より、相続税の改正で基礎控除と人的控除が4割りカットされ、基礎控除は3千万円、人的控除は一人当6百万円となりました。この結果、相続税の納税者が大幅に増加するようになります。

 この不安をビジネスチャンスに、更地のままだと相続税がかかるから評価を下げるために、貸家建て付け地に用途変更したり、事業用として利用すれば評価が下がり、税負担が減少するという説明で、従来以上に積極的に販売攻勢をかけているのが一流のハウスメーカーなのです。この他にも老後の安定収入を確保するという名目で、法律知識の乏しい高齢者を狙って勧誘を行っているようです。

 一般的な宣伝は「宅地にしてアパートを建てませんか、信用ある当社が一括して借り上げて家賃を保証します、管理の手間もかかりません。節税効果もあって、安心・安全な資産運用です」と言って勧誘します。
最大のミソは、建築を請け負う建設業者とサブリース業者は同一かまたは関連会社となっている点です。業界では建築時点と修繕工事で80%の利益を確保してしまい、残りの20%でサブリースを運営しているようです。だから建築は知り合いに頼みますと行っても絶対にOKは取れません。他人の家賃を保証して、保証会社の経営が成り立たないことは自明の理です。ここにこそ契約の秘密が隠されているのです。

 ところで建物の耐用年数をご存知でしょうか。木造モルタルで20年、木造で22年、軽量鉄骨で27年です。常識的に考えて、30年間一括借り上げ方式が成り立ちますか?
 物事の判断は「腑に落ちる」とか「良心に何となく合わない」場合、殆どが失敗の原因になっていることは、皆様も経験済みと思います。

 建物が古くなったり、競合物件が乱立すれば、家賃の減額や入居者の減少で収入が減るのは自然の成り行きです。大規模な修繕費はどうなるのでしょうか。一般的に契約家賃が保証されるのは12ヶ月位と言われています。
 収入家賃の減少、入居者の減少、修繕費の増加等に対して当初の契約書がどうなっているのか精査が不可欠です。相手の甘言に乗ってしまうと、節税や資産運用ではなく、大切な財産を失ってしまう危険が大なのです。