張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

マイナンバー制度の裏読み

 既にご存知のとおり平成28年1月1日からマイナンバー制度が施行され、全ての国民に12桁の個人番号が割り当てられます。
 マイナンバー制度の目的は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤を作ることとされています。施行初年度の平成28年社会保障関係、税金関係、災害関係の三分野に渡って実施されます。本年10月には各市町村から個人番号の通知が届きますから、取り扱いは慎重に行って下さい。

 ところが平成30年から、この個人番号を預金口座にも適用する案が出てきました。これについては多方面から反対意見が出て、当面は法制化しないようですが、各種の金融機関に対しては任意での対応を進めていることがマスコミで報道されるようになりました。まだ任意だから安心。と言う考えは甘いと言わざるを得ません。これは行政指導の実体を見れば明らかです。監督官庁が法制化されるまでは「任意」での対応を進めると言うことは、監督される立場の金融機関では無視することは不可能で、むしろ積極的な協力体制を作るものです。

 さて、本題です。 
今日、個人の預金口座数は約10億口あると言われています。生まれたばかりの赤ちゃんを含め一人平均10口の口座数です。この数字は常識的に考えれば異常値です。中には存在しないはずの仮名預金や借名預金が多数存在すると想像します。仮名預金や借名預金は本名に出来なすからこそ存在するものです。個人番号のつかないこれらの預金口座は今後どうなるのでしょうか。持ち主不明の預金として中に浮いてしまいます。

 法律が施行されてからでは手遅れです。今から対応が必要ですがどうするのでしょうか。
 時効が成立していれば堂々と表に出すことが出来ます。しかし、今後税務当局から厳しい目で睨まれます。それとも錯誤を理由にして本名に戻しますか。いずれにしても本名に戻さなければ宙に浮いてしまい金融機関も困ります。

 マイナンバー制度のもう一つの目的が脱税防止であることは明らかで、税の公平化という観点から国民の理解が得られやすい反面、不正利用や情報漏えいによる不安の払拭に努めなければなりません。マイナンバー制度先進国アメリカでは不正使用や情報漏えいが社会問題となっている事実を教訓としてもらいたいものです。