張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

数字を活かして使っていますか。

 システムが突然ダウンし、全てのソフトがようやく復帰しました。ようやく確定申告も終わりブログ再開です。

 さて、先日知人から経営に困っているところがあるので相談に乗って欲しいと頼まれて行ってきました。
聞けば、経営に行き詰まり、元金の返済猶予を受けた関係で、地元の金融機関が経営革新等支援機関の認定を受けた会計事務所と共に再建計画を作るという話が進んでいると言うことでした。その前に話を聞きたいと言うことで小生が参上した次第です。

 まず最初に、事前に過去10年間の決算書を用意しておくように依頼しておきました。当日になって依頼した決算書の呈示を求めたところ、会計事務所に預けてあるから手元には直前の一期しか無いと言うことでした。この一言で、社長の再建に対する本気度が分かってしまいました。

 それから会社の借入金残高、年商、繰越欠損金等をチェックした後、過去の売上の推移、商品別売上状況、付加価値の推移等について質問してみました。これらの内部管理資料はほぼ完璧に整理してあったのにビックリした次第です。

 次いで、何のために事業をやっているのかを問うため「経営理念」の有無について聞いたところ、返事がありません。全く考えていなかったようです。怪訝な顔をしていました。
 次に、内部管理資料を見せてもらったところ7年前から売上が減少し、その傾向が改善された様子は無く、販売先は一社依存型で不安定で、このままでは数ヶ月で資金ショートが起きることが分かりました。
 そこで、次の提案をして還ってきました。社長の本気度を試すためです。本気度の無い社長に、いくら提案しても効果が無いことを経験的に知っているからです。

 先ず、企業経営の根本である「経営理念」の作成のためのメモ書き、資金繰りが続く間に一社依存からの脱却として、トロイカ体制を確立するための可能な限りの販路開拓。このためマーケッティングを徹底すること。マーケッティングとは誰に何をどうして売るかの仕掛け作りであることを説明してきました。一社依存に安住した結果マーケッティングの重要性は皆無でした。

 貴重な内部管理資料が豊富にありながら、誰一人としてこれを経営に生かし切っていなかったのです。だから社員は何をどうして良いか分からず惰性で仕事をしていたのです。
 貴重な内部管理資料を駆使して、マーケッティングを実践すれば赤字からの脱却は充分可能な状態なのです。

 経営は全て逆残である。と言う命題を理解していなかったようです。売上が減少したから赤字になっても仕方が無いという無責任さが目立ちました。経営者としての自覚が希薄すぎる結果がもたらした悲劇です。借入金残高は一億円以下で、再建は十分可能ですが、トップの本気度が答えを握っています。

 一部の業界には明るさが戻りつつあります。中小・零細企業はトップの決断次第で勝負は決まります。反面教師としてご理解下さい。