張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

アベノミクスの行方

昨年暮れ、安倍内閣大義なき総選挙を強行し、野党の選挙統一の乱れに乗じ現状維持を確保しました。これで国家百年の計を構築する絶好の機会を得たことになります。憲法改正集団的自衛権の問題等、近隣諸国の現状を踏まえ、自他共に認められる真の独立を確保する準備が整いました。逡巡することなく国民の理解を深めて実行してもらいたいと思います。

国家の真の実力は経済力であることは歴史が証明しています。強力な経済力を確保するためアベノミクスの実践に向けて只今実行中です。アベノミクスの基本は、デフレからの脱却で、その為には異次元緩和で円安誘導を行い輸出競争力の再現を狙い、輸出増と為替差益効果によって先ず大企業から増収・増益を実現させる事です。これで先行き好調を反映し株価も上昇気流に乗りました。

アベノミクスの胆は、大企業が潤うことでその影響が次第に中小・零細企業に波及していくという、いわゆる「トリクルダウン」効果を狙ったものです。しかし、内需中心の中小・零細企業は円安による輸入物価上昇と消費税の増税で消費が落ち込み、塗炭の苦しみにもがいているのが現状です。

今日、フランスの経済学者「トマ・ピゲティ」の『21世紀の資本』が脚光を浴びています。各国の税務統計等を20カ国以上集め、所得と資産のデーターを300年の長期に渡って分析した著書です。フランス語で900ページ、英訳で700ページの超大作で、アメリカで超ベストセラーになった本です。
何故これほど分厚い本が話題になったのでしょうか。行きすぎた賭博資本主義に対する疑問に答えたからです。これによれば、資本主義が発展するほどに格差が広がり「トリクルダウン」現象は起きないとデーターを基に説明したのです。「トリクルダウン」は理想であり、過去の歴史が証明していると言い切っています。大企業が豊かになれば中小・零細企業もやがて潤うというのは希望的観測であると言います。現実から判断すると説得力のある理論です。

もし、これが真実の経済理論ならば「トリクルダウン」政策が間違いであり、とてつもない大失敗を日本経済は食らうことになります。政府の戦略ブレーンには過去の固定観念を持った人物以外に新しい理論を持った人物を積極的に活用する柔軟さが今求められています。
壮大な実験には慎重さが大切ではないでしょうか。「過ちを改めるのに憚ることなかれ」と古の言葉を大切にしましょう。