張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

財政再建に増税を求める愚

今日、財政再建のために増税が必要であると言う議論が当たり前のように報道され、これに沿って税法が改正されるようになっています。平成26年4月には消費税が5%から8%に改正、景気条項があった関係で税率10%は1年半延期され29年4月からとなります。この際、歯止めとなる景気条項は廃止されます。これは将来大きな禍根を残しそうです。
まさに財政再建増税はセットで議論されるようになってしまい、誰も違和感を持っていないのが不思議です。

20年以上にわたるデフレにより日本の財政は極端に悪化してしまいました。今や国債が一千兆円を越える異常事態であると言われています。
財政再建のための増税論は明らかに戦術論です。戦術をいくら駆使しても何の解決も出来ないことを知るべきです。

そもそも国家戦略とは何でしようか。それは国民の生命・財産・安全を保証するためです。この戦略を実現するために予算があり財政政策が存在するのです。これを具体的に賄うために国家は国民に納税の義務を課しています。では、納税義務の客体は何でしょうか。それは企業の利益や個人所得の担税力に着目した直接税と、流通に着目した間接税である消費税が中心となります。

本来、税制を考える場合担税力に着目する必要があります。担税力は企業の利益や個人の所得によってあるいは流通量によって変動します。従って、税制議論の大前提は利益や流通量の問題を無視しては存在出来ないことを知るべきです。担税力を無視した税制改正はやってはいけません。

景気対策無しの増税論は国民を萎縮させ,結果としてデフレを増進することになります。
例えば、苦しい家計を助けるために鶏を飼い卵を産ませて家計を助けると考えたとしましよう。卵を沢山産ませることばかり考えて、親鳥の快適環境や健康を無視して卵を産ませ続ければ,やがて親鳥は疲弊し卵を産まなくなってしまいます。今日の増税議論はまさにこの喩えのとおりです。
景気対策のない増税論は、戦略のない戦術論で必ず失敗することを過去の経験から学び取らなければなりません。

日本の得意とする成長分野は何か。それをどのように実現させていくかのグランドデザインを描くべきです。単なる規制改革をすれば良いとか、金融緩和をすれば良いというような思いつきの議論は不毛です。
今や専門家による戦術論が横行し、原理原則が見失われている状況の中で待望されるのはグランドデザインを描ける人物の登場です。
大義のない解散を生かし切るには日本の将来についてグランドデザインを描ける人物を慎重に選択する良い機会と捉えるべきでしょう。
戦略のない戦術は必ず失敗。戦術のない戦略は空想である。