張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

杜撰なエネルギー政策と経営者の対応能力

最近になって電力会社が太陽光発電の電力を買い取らない事態が発生し、社会問題となっています。まるで、買取を拒否した電力会社が悪いと言わんばかりの風潮です。

先ず固定価格買取制度は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という法律に基づいて行われている事業であることを認識する必要があります。

現状はどうでしょうか。
固定価格買取制度により安定した収益が見込まれることから一挙に事業化が行われました。中には太陽光発電メーカーや販売店のすすめで事業化したケースが多く、20年間のメンテナンス費用とか設備の劣化による発電能力の低下という基本的な問題について検討が雑になった面もあります。
しかし、もっと重大な事実を見落としていました.それは法律に基づいて運営されているという特殊性です。法律の理解無くして事業化を進めた結果と言えます。中には何億円も投資したあげく、買取を拒否されたり,送配電への接続拒否を回避するため自己負担金を1億5千万円も請求され断念したケースもあります。
これらは全て法律の理解を怠ったために起きた事案です。一般の設備投資ならば自社のシミュレーションだけで投資判断が可能ですが、法律に基づいた事業を行う場合には法律内容の熟知が不可欠です。計画を立てるときに買い取り拒否が起きない条件とか接続拒否が起きない条件を調べ、電力会社と事前協議が最低条件なのです。

特別措置法第5条の内容
電力会社は太陽光発電業者から電気的に接続を求められたときは次に掲げる場合を除き接続を拒んではならない。これが原則規程です。しかし、但し書きが最重要なのです。但し書きには「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがあるときは拒否できる」と明記されていることです。
問題は、拒否の具体的な事項は何も示されず、全て電力会社の判断に任せていることです。

ここまで大混乱が起きた原因は,経営の実態と経営者心理を無視して法律を作った政策作成者と,法律の中身を検討せずに安易な利益計画に走った経営者にあることは間違いありません。
法律に基づいて経営行動をとる場合には,先ず法律の中身を精査してから行うべしと言う原則を守る必要があります。

そもそも天候に左右される太陽光発電は,電力の安定供給と言う目的と矛盾するため,ある程度の購入制限は事前対策として法案化すべきであったのです。
杜撰な法律によって,多くの参入者が泣きを見ないような対策を至急に講ずるべきです。