張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

歴史の真実 点と線 その3

尊皇攘夷から開国へ
幕末に欧米列強が軍事力を背景に開国を迫ってきたことはご存知のとおりで、特にペリーの黒船艦隊は有名です。これに前後して国内では尊王攘夷派と開国派で議論が沸騰し、国内の治安が大いに乱れたことは周知の事実です。やがて武力による対抗は不可能である事を知るにつけ、井伊大老の決断により開国が決定しました。これによって、国内情勢は激変し、大政奉還版籍奉還廃藩置県等が矢継ぎ早に決定され、明治維新を迎えたことは歴史の真実です。

大政奉還とは徳川幕府の政権を朝廷に返還することであり、版籍奉還とは各藩の所有していた土地と人民を朝廷に返還することで、廃藩置県とは各藩を廃止して県知事による中央政権を確立することです。
数百年も続いた大名や武士階級が一挙に廃止され、失業するような急激な改革に何故成功したのでしょうか。これは明らかに革命です。ある程度の犠牲はありましたが国内を二分するような事態は避けられました。中でも江戸城無血開城は画期的な決断でした。

欧米列強の植民地支配の実態を知り、ジョン万次郎からの生の情報を得ることによって、軍事力による侵略に「恐怖心」を抱いたことが明治維新を奇跡的に成功させた要因であり、その根本は世界に誇る民度の高さによるものと考えられます。白人以外の国家で植民地支配を受けなかったのは日本だけだという事実が物語っています。

ところで幕末期加賀藩の武士の実態生活を著した「武士の家計簿」をご存知でしょうか。江戸末期の中堅武士階級では極めて質素な生活を強いられ、冠婚葬祭時には親類縁者からの資金援助で武士の体面を保っていたことが窺えます。

幕末期に活躍した有名な人物については小説や映画の世界で知ることは出来ますが、真実はどうなっていたのでしようか。真実を知るには実生活の資金面から考察するのが正しいと考えます。
武士の家計簿」によると中堅の武士でさえ実生活はかなり質素なものであったことが分かります。
幕末期に「回天」の志に燃えて藩を脱藩し、浪人になって活躍する人物が英雄として描かれている小説や映画がありますが、果たして本当だったのでしょうか。一介の素浪人に本当に可能だったのでしょうか。脱藩すれば収入は途絶えてしまいます。封建時代ですから他藩への移動も不可能な時代なのです。何故、無収入の脱藩浪人が活躍できたのでしょうか?

以下はその4に続きます。