張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

銀行の矜持について

矜持とは、自信と誇りを持って振る舞うこと(大辞林

TBS系のドラマ「半沢直樹」の最終回の平均視聴率が42.2%、平成の民放ドラマで歴代第一位となり、社会現象となったことはご存知でしょう。
銀行内部の派閥抗争の中で、金融マンの正義を求めて大活躍する「半沢直樹」の生き様を描いたストーリーで「倍返し」が流行語になったほどで、視聴者の共感を得ました。この中で、銀行内部の企業に対する姿勢が浮き彫りにされ、業績不振の会社に対する冷たい仕打ちに驚かされたと思います。これはドラマであり、現実の対応はもっと親切で我が社のことを考えてもらっていると思われている経営者も多いと存じます。

私の考えでは、このドラマには実在のモデルがあると思います。実在のモデルではドラマよりも段違いの凄さをもって実行され、銀行はそこまでやるのか! 背筋の寒くなるような筋書きが実際に行われていたのです。

一般的に倒産した会社の清算が行われた場合、残余財産の分配はゼロから10%以内が相場です。ところが実在のモデル会社の分配金は何と93%もあったのです。こんなに財務内容の良い会社は常識では倒産しません。ところが現実には倒産させられてしまったのです。その会社はバイオ企業として世界的に有名な優良会社「林原」です。破綻劇の主役はメインの中国銀行、サブメインの住友信託銀行です。「林原」はバイオ企業として最先端の技術を開発するため、その資金をメイン銀行とサブ銀行に依頼しました。研究開発は順調に進み返済金は余裕を持って行われていました。

あるとき決算書の提示を求められたとき、各行の借入残高に記入ミスを起こしてしまい、これが銀行から粉飾決算と疑われ、これが発端となってメインの中国銀行がマスコミにリークした事から風評被害となって信用不安が起こり、最後はズタズタに切り裂かれてしまったのです。この間、銀行は内部情報をマスコミにリークするという違法行為を繰り返し行い完全に息の根を止めてしまったのです。
「林原」は同族会社です。大多数の中小・零細企業は同族のオーナー経営者です。銀行はいつ牙を向けてくるか解りません。この現実を心の隅にとどめて置いて欲しいものです。

詳しい情報は、元林原専務が暴露してベストセラーになっている「破綻」を読んで下さい。
今日、銀行は「快速何でも応援団」等の名称を使って9%~14%と言う高利資金の宣伝を盛んに行っています。かつてはこのような金利商売を高利貸しと言っていたものです。
銀行は社会の血液として社会的に保護されており、信用が第一の商売です。高金利を平然と宣伝する姿勢に、銀行の矜持とは何かを問いたいものです。