張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

失われた20年不況の真相

世間では、バブル崩壊の原因は、不動産、株、ゴルフ会員権の異常な高騰からの急落と言う説が一般的です。そうであるならば20年以上にわたってデフレ不況が我が国にだけ起こったのは何故なのでしょうか。上記の資産下落も一因かも知れませんが、これが決定打ではありません。誤った認識は誤った対策を取りやすく極めて危険です。

それでは、支出面から見たGDP国内総生産)について考えてみましょう。2010年の資料ですが、GDPの内訳は民間消費支出61.2%、民間設備投資16.9%、こけだけで78.1%になります。後は政府支出の21%、貿易収支の0.9%となっています。民間の消費支出と民間の設備投資で78.1%を占めると言うことは、この比率を変えることによってGDPが変化し、景気が左右されることを物語っています。

1989年に何が行われたのでしょうか。ご存知の通り消費税法が我が国に始めて実施された年です。1997年には3%から5%にアップしました。1%で税収が2兆5千億円です。5%では12兆5千億円となります。本来、税金は所得の増減によって課税される応能負担が原則です。しかし、間接税である消費税は所得のあるなしに拘わらず、消費にかかる税金ですから、低所得者層には逆進性が働き、格差が広がる傾向があります。

この結果、何が起きたのでしょうか。GDPの主要な項目である民間消費支出12兆5千億円が税金として徴収された結果、民間が自由に使える資金がその分だけ減少し、景気の足を引っ張ったしまったのです。これは1989年以降のGDPの推移を見れば明らかです。確認してみて下さい。そうです。20年不況の真相は消費税の実施とその後の増税によるものと理解出来ます。

今日、アベノミクスと日銀の金融緩和策で景気浮揚期待が高まっていますが、来年4月の8%、再来年10月から10%の消費税増税を実施すれば、民間が自由に使える25兆円という金額が国庫に納まります。そうなれば今までのデフレ不況の比ではなく、スタグフレーションと言うたちの悪い不況に見舞われる危険が現実のものとなります。

為政者は歴史の教訓を生かし、二度とデフレ不況を再現させないように頑張ってもらいたいと熱望しています。その為には安易な消費税増税を行わないことです。景気回復を最優先することによって税収の自然増を期するのが原理原則でなければなりません。安易な増税は日本経済を破壊することを理解してもらいたいものです。