張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

仕掛けられた罠に気付かず交渉する愚・・・TPP パート1

消費税増税問題や小沢裁判の行方と無罪判決で、すっかり忘れかけているTPP問題は実は深く静かに進行しています。

以前TPP参加による日本経済の悪影響と危険性について、昨年11月9日から11日に三回に分けて説明しましたが、TPP参加を世界に向かって意志表示し、最も積極的な野田総理のTPPの理解度についてネットで詳細が報告されています。

これによるとTPP条約が国内法の上位に位置することや、TPPの根幹をなしているISD条項について寡聞にして詳しく知らなかったと国会で自民党佐藤ゆかり議員の質問に答えているのです。TPP積極参加者の総理が、この程度の知識で交渉に臨むとは余りにも浅はかで危険な行為と言わざるを得ません。

TPPは農業問題や医療問題が大きく取り上げられ話題になっていますが、根幹はISD条項であると考えています。ISD条項とは、投資家対国家の紛争解決制度と言われるもので、締結した国家間において、外国企業が相手国政府から不当に差別され不利益を被った場合などに、相手国政府を相手取って訴訟を起こすことを可能にする条項で、相手国の国内の裁判所を経由せずに「国際投資紛争解決センター」に訴えることが出来、投資家の一方的な利益を擁護する制度です。
このISD条項はTPPの中心思想であり、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を自分たちの国の基準で決められない、いわゆる「治外法権」規定なのです。こんな重要な条項を「仕掛けられた罠」とは知らずに交渉するとは全く理解に苦しみます。

平成の開国論者や推進者はISD条項はお互いを縛る制度だから問題ないという楽観論を展開していますが、参加国の経済力を全く理解していない空論であり危険な考えたかであると言わざるを得ません。
参加国のGDPはアメリカが70%、日本が25%、その他の参加国がたったの5%。実質的にはアメリカと日本の二国間条約です。日本がアメリカと対等に交渉出来るか否かが勝敗を決してしまいます。今の政府で可能でしようか。一方的にアメリカに隷属する今の政府に対等を期待出るでしょうか。美辞麗句を並べて空論を展開するのではなく、真に我が国にとっての国益とは何かを考え抜いてから参加の有無を決すべきではないでしょうか。拙速は後世に汚名を残します。自身を名宰相として評価を受けたければ、ことの本質を理解して、いわゆる万機公論に徹すべしではないでしょうか。

次回ではISD条項で巨額の賠償金を支払った事例を紹介します。