張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

マスコミ情報の作られ方

私達はマスコミが発信している各種の情報に対して、無批判に受け入れてしまう習慣を持っております。この結果、ある意図を持って報道されると誘導されやすい危険に晒されているのです。

それでは具体的で身近に起こったケースを紹介しましょう。
国宝松本城周辺事業計画構想が12月10日、地元のマスコミから発表されました。これによると条件付き賛成が81.6%、反対が18.4%。地元住民の賛成多数でいよいよ平成24年度から本格的な行動を開始すると報道されていました。

実は前日の12月9日、地権者に対する地元説明会が開催され、6ヶ月に渡った個別アンケートの結果が報告されました。その結果が上記の数字です。この場には報道関係者が数社おりましたが会議開催直前にシャットアウトされてしまい、渡されたアンケート結果に基づいて上記の記事を書いてしまったのです。

9日夜7時から9時までの地元説明会では、全く真逆の対応が張り詰めた緊張感の中で行われており、賛成意見を述べたものは皆無でした。この中で副市長が一人でも反対者がおればこの計画は進まないと宣言してしまったのです。これは将来致命傷になる危険をはらんでおります。

地元住民にとっては生活環境が激変したり、移転に伴う資金的な問題に不安を持ったり、町内会の絆がズタズタになって高齢者の不安が増幅したり、先行きの不安に対する具体的な対応がないまま進行した説明会は反対者の意見が続出して二時間があっという間に経過して終了。

マスコミが会議終了後の出口調査を行っていれば、上記のような真逆の報道は決してしなかったはずです。
国宝松本城周辺事業計画は平成21年2月に素案が発表されましたが、史跡の発掘により当初の計画より広範囲に渡る計画の見直しが行われました。その結果、直前になって地権者が増加してしまったのです。この計画は国庫補助金事業として行われるため、予算付けには国の指示に従う必要があり計画が拡張してしまいました。

今、群馬県八ッ場ダム計画が政権の交代で揺れています。国庫補助金付きだと政権の交代により変更する可能性が高いことを八ッ場ダムが教えています。もし転居が進み新たな町造りが始まっている中で突然の予算執行停止となった場合の責任は誰が取るのでしょうか。危機管理として実行者は当然のこととして想定すべきであり、そうであるならばいたずらに計画の拡大を求めず、必要最小限の計画で実施するのが筋ではないか。地元住民の生活を犠牲にすると言うことは、それくらいの覚悟が不可欠である事を念頭に置いて、再構築すべきです。
先の新聞報道は主催者側の意図に沿って行われたことは明白です。「事実は小説よりも奇なり」と言われる所以です。
報道は「表を見れば裏を見よ」城野先生の教えです。