張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

貿易の拡大は賃金低下を招く

そんな馬鹿な話があるのか?これが現実なのです。出展は「三橋貴明著(国民の教養)」から、フランスの高級紙ル・モンドの社説からの紹介です。

曰く、自由貿易は二重に不況を導く効果を持つ。一つは賃金に対する直接の効果である。もう一つは、自由貿易によって起こりうる減税効果を介した間接的な効果である。
ある国のメーカーが、コスト切り下げ競争と社会保障の切り詰め競争に直接的に晒されたとすると、政府は雇用を守るために、国内の利益水準を確保しようとして、社会保険料の企業負担分を賃金労働者に転嫁する。つまり賃金が圧迫され、税の公平性は薄れ、間接賃金である社会保障給付は減額される。それは大半の世帯の収入に重くのしかかる。と。

事実、我が国においても輸出額がピークを迎えた2008年までに、1998年以降平均給与が下がり続けている。これは日本に限った現象ではなくアメリカ、フランス、ドイツを含む殆どの先進国が同じ状況に陥っているのである。

もし、国際貿易に対する障害が低くなれば、労働を含む生産要素の価格は同一水準に収斂する傾向がある。これが「新しいグレッシャムの法則」と呼ばれているものである。

企業がグローバル競争に勝ち抜いた結果、日本の賃金水準が中国やインド等の発展途上国の水準まで落ち込むことを誰が望むのだろうか。

やれグローバル競争だ、自由貿易だ、TPPだ、開国論を唱えている人たちはこの現実を理解しているのだろうか。かっこいい開国論を唱えた結果、デフレが進行し、賃金水準の低下に拍車が掛かったら、国民は本当に喜ぶだろうか?
ちなみに日本の輸出依存度は2010年度でわずか14%である。他の先進国に比べ極めて低く、現実は内需依存度の高い経済になっている。