張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

干天の慈雨か?

 「干天の慈雨」とは、日照り続きの時に降る恵みの雨。待ち望んでいた物事の実現。・・・(goo辞書より)

日本の自殺者数は平成10年に一挙に三万人を超え、以後、この状態が続いています。国別では世界第三位と報道されています。自殺者の七割以上は男性で、中でも45~64歳の中高年層が約四割を占めており、原因は「経済・生活問題」が中心で、バブル崩壊による経済状況の悪化が影響しているようです。

経済状況が悪化すれば、どうして自殺者が増えるのでしょうか?

原因は日本独特の融資制度にあると考えられます。中小・零細企業が融資を受ける場合、担保の提供の他に経営者本人の連帯保証が不可欠であり、信用力がない場合は更に第三者の連帯保証を要求していました。先に日本独特の融資制度と言いましたが、経営者本人の連帯保証を義務づけているのは日本独特のものでアメリカには存在しない制度なのです。
何故ならば、会社制度は法律上、有限責任によって成り立っているからです。本来、経営者個人の連帯保証という制度は存在しないはずなのです。では何故存在するのか、それは銀行の自己保身のためなのです。貸し手責任を全うせず、安易に担保と経営者の連帯保証で賄ってきた付けが今現実になってきました。

金融庁は金融検査マニュアルの改訂版を本年7月14日に発表し、即時実行するよう金融機関に通知しました。内容は「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする」と言うものです。要するに他人の連帯保証を要請してはいけないという内容です。これだけでも保証人になってひどい目に遭っている人には慈雨となります。いずれ、経営者の連帯保証制度も改正される可能性もあります。

尚、信用保証協会による第三者保証人要求制度は平成18年3月以降原則廃止になっています。
この制度改革が中小・零細企業経営者の自殺の減少という「干天の慈雨」になって欲しいものです。