張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

我が社の労働分配率をご存じですか?

経営者にとって我が社の労働分配率の確認は、重要な業務の一つです。
では、労働分配率とは何を指すのでしょうか。企業が創出する付加価値額と人件費総額とは相関関係がある事に気付いたアレン・ラッカーが研究成果を発表し、以後ラッカープランとして有名になりました。ラッカーによると付加価値額に占める人件費総額は40%以内が優良企業の条件であると言います。

それでは付加価値額とは何を言うのでしょうか?案外バラバラに認識していますので、定義を示しておきます。付加価値とは売上高の変動に正比例する費用、則ち、仕入額と外注費を控除した金額を言います。
数式では、付加価値=売上高ー(仕入高+外注費)、一般的に売上総利益とか、粗利益と言われているものです。
社内で発生する総費用の内、売上高に変動して増減する費用として、仕入高と外注費があり、これを変動費と言います。売上高の増減に関係なく発生する費用を期間費用または固定費と言います。会計上、この考え方を直接原価計算と言い、経営判断には欠かせない会計手法です。

実務的にはこの労働分配率が30%以下だと超優良企業、30%~40%は優良企業、40% ~50%が普通企業、50%~70%は不安定企業、70%は危険企業と判定され、万年赤字の企業は60%以上が殆どです。

労働分配率は付加価値額と人件費総額との関係ですから、改善するためには如何にして付加価値を上げるか、如何にして人件費を見直すかにかかっています。実務的には労働分配率が高い企業は社員の直間比率に無頓着な経営者が多いと言うことです。

製造業では製造社員、販売業ではセールスマンが直接社員で、後は間接部門と言って、直接社員にサービスを提供する部門に区別します。この内、付加価値を直接生み出す社員は直接社員だけです。だから直間比率の見直しをトップ自らの権限で実行すべきです。

業績悪化の企業では直接社員と間接社員数が半々か、ひどいときには間接社員数が多い場合があります。間接社員は経営に対するサービス部門ですから、黙っているとサービスと称してどんどん資料を作ってしまう体質を持っています。経営に必要な資料の作成ではなく、自分に都合の良い資料を時間と経費をかけて作っているのです。この事実を放置している企業は労働分配率が悪化し、赤字原因を作っていることになります。従って、間接部門に対する各種の資料は、社長の指示以外に作ってはならないと明言すべきなのです。重要な労働分配率を無視して行う経営は極めて危険です。我が社の労働分配率はいくらでしょうか。