張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

「夏」こだわりの一品

7月12日号で、中小・零細企業生き残り作戦として市場占有率の話をしました。今回は取扱商品を特化して徹底した差別化戦略で生き延びている中小・零細企業のお話をします。

夏の楽しみの一つは豊富な果物の中から鮮度の高い美味しいものを自由に選んで食べられることです。大量生産、大量消費の中で、品質と味に徹底したこだわりを持ち、これがお客様の固定化に繋がっているケースを紹介します。成熟時代を生き抜くヒントになるのではないでしょうか。

事例1、波田下原ブランドのスイカ
波田在住の知人から下原スイカの生産者を紹介され、さっそく現地に行って「下原ブランド」のスイカを購入。従来からのJAスイカやスーパーのスイカとはひと味違う事に気付きました。甘みの質が違うのです。これは本物であると思い早速知人や親戚に送ったところ、こんなスカイは初めてであるとの報告。評判は上々です。産地直送だから安くて鮮度抜群。聞けば下原地区のスイカ栽培の元祖である「大池さん」でした。1995年JA合併により「下原ブランド」が消えることに危機を感じた農家8人がJAとは別に組織を作り「下原ブランド」に愛着を持ち、ハートマークに下原の文字を入れたラベルが特徴的で、数量限定販売が効果を発揮しています。

事例2、三郷の安曇野観光果樹園。
三郷村に一帯はりんご園です。この中で唯一桃を栽培し、こだわりの一品を求めるお客を対象に経営しているのが布山さんです。スーパーや果物店で売っている桃は「触ってはいけません」と書いてあります。何故か、収穫後数日を経過すると桃は極端に鮮度が悪くなり、柔らかくなってしまうからです。しかし、布山さんの桃はとても堅くて甘いのです。歯が立たないくらい堅いのです。私のDNAは堅くないと桃ではないと認識しているのです。この中で圧巻は「おどろき」と言う名の桃で、直径は20センチ以上あります。一つ千円はしますが、贈答用には最適です。自家用は少々傷があるものを安く買い求めています。この「おどろき」はこの農園しか手に入りません。正に数量限定販売です。家族だけで経営している典型的な零細企業です。

事例3、サクランボ佐藤錦の黒岩果樹園。
サクランボの佐藤錦は一流ブランドの証明です。サクランボと言えば山形県ですが、長野県須坂に20年かけて佐藤錦を栽培しているのが黒岩さん。徹底した有機農法により安全で良質なサクランボを栽培しています。果肉が厚く甘酸っぱいのが特徴でネット販売にも対応しており、若奥さんの対応はきめ細かく行き届いていてほのぼのとして来ます。県内のスーパでは佐藤錦ブランドは殆ど流通しておりませんが高速で1時間程度で本物にありつけるのは嬉しいものです。いずれも家族経営です。

我が社は中小・零細企業だから云々という前に、中小・零細企業だからこそ出来る方法がいくらでもあることをこの事例から学んで欲しいものです。
夏になるとこだわりの一品が待ち遠しくなるこの頃です。