張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

業績不振をデフレ不況のせいにしていませんか?

 「小阪裕司」という人をご存じですか?
情報学の博士号を持ち、人間の感性と行動を中心とする独自のアプローチでマーケッティング戦略を展開する気鋭の学者兼コンサルタントです。
不況で安売り合戦が当たり前になっている今日、安くしなければ売れないと言う固定観念が柔軟性を失い、減収・減益の悪循環に陥っていると著者は言います。

経営者であれば誰でも売上を確保したい、もっと売上を伸ばしたいというと願うのは当然ですが、ここにも落とし穴があると言います。それはいつの間にか我が社を中心に物事を考えてしまい、お客様第一主義とは言っているいるものの、実際は我が社第一主義の売上確保になって失敗しているケースが多いという。本来ならば、お客様に買って頂くために我が社はどうのような行動を取るべきかが中心課題にならなければならないのです。

デフレ不況だから安くしないと売上の確保が出来ない、と言う固定観念を持っている経営者が殆どです。本当でしょうか。それは「錯覚」であると小阪氏は言います。安いから買うのではなく、欲しいものだから買うのであると消費者心理を見事に喝破しています。

オートバイ業界の話です。日本の二輪車の生産台数のピークは1981年で741万台を生産。ところが最近の生産台数は六分に一に激減。この中にあって唯一毎年増加している二輪車があります。その名はあのハーレーダビットソン。安いもので80万円、高いものだと220万円。何故、こんな高い二輪車が不況の最中にダントツで売れているのでしょうか。著者曰く。日本の二輪車メーカーはオートパイと言うハードを売っていた。ハーレーダビットソンは所有することと運転することによる夢の実現を売ったのであると。
ハーレーダビットソンの公式ホームページには「夢」を実現するための方法が数多く掲載されているし、所有者の大半はオーダーメイドであることも記載されています。

ここで、似たような話を思い出しませんか。女性の化粧品の話です。100円化粧品と1万円の化粧品には本質的な品質の差は殆どないようですが、実際には高額商品が売れています。あの中国でさえ資生堂の高級化粧品が定番となっているようです。答えは美しくないたいという女性の願望なのです。
安くなければ売れないのではなく、工夫次第で高くても買ってもらえるように仕掛けることが経営者に課せられた宿題ではないでしょうか。小阪裕司氏の研究成果に感謝です。